2014年 大磯散策
写真俳句短歌特集

                                                 (2014.08.12 )


  今月は「自由」題と致しましたが、青鳩見学を主に大磯散策を
 同好会の皆様に呼びかけましたので、これを特集として、纏めて
 みました。ご笑覧頂ければ幸いです。

 <散策ルート>
  町田―藤沢―大磯
  ―愛宕神社切通道―照ヶ崎海岸(青鳩見学)―こゆるぎの浜
  ―鴫立庵―藤村旧宅
  ―(バス)―大磯城山公園及び旧吉田邸地区




俳句、短歌 写真 コメントその他
蝉時雨
     やしろ
  小さき 社

    包みをり
       
       くに 木々を圧する蝉時雨に神社も霞みそうにーーー。
海水を
  飲む青鳩の
    不思議さに

  夏の海辺を
    友と訪ねる
 
          くに 丹沢の山地から遥々大磯まで飛んで来るという青鳩の不思議ーーー。
古の
 歌人達の
   詠まれたる

  こゆるぎの磯
   友と来にけり
 
          くに 万葉集の時代から”こゆるぎ”あるいは”こよろぎ”、”よろぎ”の磯(浜)は詠まれている。例えば

相模路のよろぎの浜のまなごなす
     児らはかなしく思はるるかも
大磯路

  記憶に残る

     睡蓮花
       
       くに 改築進む旧吉田邸庭園の池の睡蓮。
竹藪を

  透かして夏の

     陽の光り
       
       くに 同上庭園の一群の竹藪。
 (感謝 感謝)
シェーシェーと
 
  熊蝉しぐる

       切通し 

       牧紀 大磯駅前から南下。愛宕神社横の切り通し道は、クマゼミの蝉しぐれ。シェーシェーーーーー。
朝涼に

 青鳩見むと

      砂に人

       牧紀  大磯の照ヶ崎海岸の岩場には既に、知る人ぞ知る、青鳩の見学者の群れ!
青鳩や

 岩場に涼を

    求むかに

       牧紀 一群の青鳩が次々に岩場に着岩(?)涼を求めるかに。
青鳩や

 岩場に潮を

   舐めるとか

       牧紀 実際は、。岩に残る潮の塩を舐めるためとか?
大磯の
 岩に戯むる
    青鳩の

 また帰りなむ
   旅路やはるか

        紀舟 青鳩は、遠く丹沢の山塊に棲み、この時期に塩を求めて渡って来、又遠路帰るという。
歌枕
 鴫立澤は
   い         へ
  去にし辺に

 変わらぬ白波
  こゆるぎの浜

        紀舟 「こゆるぎ」は「磯」や「浜」に掛る枕詞。「小揺ぎ」で少し揺るぐ即ち比較的波静かな小波立つの意。
この辺りをこゆるぎの浜という。
大磯や
   太平洋の
   海千里

 海亀月夜に
    来るといふ

        紀舟 こゆるぎの浜なる故か、海亀が来るという。大磯城山(じょうやま)公園の郷土資料館に実際、海亀の剝製が展示されている。
落雷の
 けやきに残る
    時超えて

  古人偲ぶか
   蝉しぐれ満つ

       紀舟 江戸時代末期に落雷、今に生きる欅。
時代は移れど、蝉しぐれは昔のまま?

多くの文人の墓碑、記念碑がある。
西行の以下の和歌は余りにも有名。

心なき身にもあはれは知られけり
      鴫立つ澤の秋のゆうぐれ

鴫立つの

    萱の庵や

    蝉しぐれ
       
       牧紀 鴫立澤には萱葺が似合う。
時超えて

    俳諧道場

     夏座敷
       
        牧紀 鴫立庵の奥の部屋は、俳諧道場として公開されている由。
偶々、蜘蛛の巣がーーー。
炎天下

   平和の塔や

     夫婦鶴
       
       牧紀 改装中の旧吉田邸庭園。夫婦鶴は平和の象徴?
講和門
  行きつ戻りつ
   苦慮重ね

 成りし憲法 た
    軽んずは誰そ

       紀舟 旧吉田邸の通称講和門。桧皮葺の屋根の中央の切り欠きが特徴とか?

平和憲法の生みの親。吉田総理。その苦しみを誰が知る?
改築の
 道半ばなり
    吉田邸

 ワンマン総理
  平和見据えよ

       紀舟 何故かワンマンだけが似ている?
  はえ
白南風の

  こよろぎの浜

      青き鳩
       
        未来 白南風に青鳩が映える!写真も流石素晴らしい!
釣人の

  見据える沖に

    朱夏の色
       
       未来 こゆるぎの浜で夏の磯釣り。至福の時?
時空超ゑ
  
  睡蓮開く

     屋敷跡
       
        未来 旧吉田邸庭園の池。
岩礁の

   隙間に灯る

   透かし百合
       
        未来
透かし百合:
波を透かし(通し)て身を守るため、切れ込み深く離弁花様になっている。このためこの名がある由。海岸に生息。
青田風

  谷戸深々と

   鎮もるる
       
       未来 ご存知、数年前のNHK「蝉しぐれ」のロケ地としても有名。
潮風に

  負けぬ浜木綿

    真白なり
       
       未来 浜木綿の強さは真白に在り。
波静かなり

    青鳩の

    群れ集ふ
       
       玲子 波の静と青鳩の動。良い写真ですね!
青鳩の

   千里の飛来

    一途なり
       
       玲子 青鳩の塩を求めて一千里
超然と

  背を見せゐたり

     海鵜かな
       
       玲子 海鵜の一人舞台、一人芝居?
朝凪や

  投げ釣りの竿

      細長し
       
       玲子 竿長し吊り糸更に長し。
寄する波

    平和を思ふ

      夏の海
       
       玲子 夏が来ると思いだす。
 ―あの終戦の日、平和の礎。
潮啜り

   浸す尾羽の

   青さかな
       
      ゆきお 塩はすべての動物の命のもと。
青鳩は潮に塩を求む。
前はだけ

  駆け行く児等の

       夏祭り
       
        ゆきお 今も変わらぬ夏祭りの懐かしい一シーンですね。
初蝉や

 見上げつつ行く

    並木かな
       
      ゆきお 恩田川堤の初夏。
宿題の

  終わる親子の

      水遊び
       
      ゆきお 親子揃っての水遊びは、いつみても微笑ましいですね。
こそと咲く

   あさがお一輪

     和む朝

       淑如 「こそと咲く」が良いですね。
写真も良くマッチしています。
雨あがり

   みな向日葵に

    笑み送る

       淑如 向日葵は、微笑みの花。
静かなり

  こんな処に

    秋の使者
       
       淑如 コンクリートジャングルにも蜻蛉は
飛んで来る。
8月7日は立秋。成程「秋の使者」
山百合を

  見つけてうれし

      法の山
       
          学 高幡不動尊で昨年見た花。今年も同じ処でまた会えた嬉しさ。
木槿咲くや

    幼き頃の

    吾に会ふ
       
          学 木槿にまつわる幼児期の思い出にふける。
波のりや

   思ひは遠き
      くに
     故郷の海
       
        学 波のりは江ノ島も千葉の海も同じ懐かしい思い。
波一線

   二線三線

    海晩夏
       
       学 浜辺の少女の一寸と重い思いが何となく伝わってきますね!
思いは違っているかもしれないがーーー?
走り梅雨

  小枝に宿る

     音残し
       
       隆夫 つい先まで降っていた雨音が雨粒に凝縮されていますね。
梅雨の夜

  鉄路に消える

   テールかな
       
       隆夫 テールランプは梅雨の夜に似合う?
すず虫の

 音に誘われて

      寝入る夜
       
       和子 このところ、熱帯夜が続いています。
鈴虫の音で安眠を!
雲上の
    はぐく
  池塘 育 む

   キスゲかな
       
       和子 雲上に池塘の育むキスゲ、ワタスゲ。
高原のお花畑ですね。
浮島や

  池塘に映る

      木々の青
       
       和子 真夏といえど、「涼」が伝わってきます。
残雪の

  幾何学もよう

        白馬岳
       
       和子 山稜と雪渓の織りなす幾何学模様に感動。
花と蝶

  湿原の夏

     静かなり
       
       和子 一瞬のシャッターチャンス。
初夏の陽に

    輝く軍艦

       波静か
       
       水白 軍艦は繋いでおきたい今日この頃
初夏の風

  海軍の旗

    穏やかに
       
       水白 集団的自衛権の議論に関係なく、
穏やかに穏やかにーーーー。
紫陽花や

   若木老の木

     気になる木
       
        水白 紫陽花に人生の縮図を見る。
ひょっとして

    美容柳は

       女の子
       
       水白 間違いなく睫毛の長い女の子です。
あの時も

   風船かずら

      風にゆれ
       
        水白 終戦のあの日、身も心も風船の如くただ揺れていた?
影求め

   信号待ちたる

     猛暑かな
       
       小鈴 日影恋し街中ーー判る、分る。
幼子の

 見よう見まねの

     盆踊り
       
       小鈴 幼子の表情が秀逸!
座禅組み

   何を思案か

        青蛙
       
       小鈴 心頭滅却すれば火もまた涼しーー?
姫川の
 生まれ出ず水
    訪ね来し

 清流となり
   梅花藻育て

      小鈴 梅花藻の花が優美ですね。
保護色に
 色を変えたる
      青蛙

 木穴住処に
   暑さ凌ぐや

      小鈴 こんなに見事に変色するとは!!
朝顔の

  一輪のみの

   咲き心地
       
      有三 立秋を告げて一輪咲きにけり。
青鷺の

  過ぎ行く時に

    身を委ね
       
      有三 青鷺の動かざること山の如し。
菅笠の
 乙女の摘みし
    花菖蒲

  その指先は
  薄むらさきに
       
       有三 菅笠を目深にかぶる手弱女の
茜襷に紫映えてーーー。



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