2014年 藤の花
写真俳句短歌特集

                                                 (2014.05.13 )


  枝垂れ桜、染井吉野、八重桜と桜の季節が移り、4月の末は藤の花。
 同好会では、4月26日(土)に江戸時代からの名所「亀戸天神の藤の花」
 及び近くの富岡八幡、深川不動を訪ねる、吟行会を催しました。
  これを中心に、今月は「藤の花又は自由」題で藤を特集しました。
 ご笑覧頂ければ幸いです。


亀戸天神社 富岡八幡 深川不動

俳句、短歌 写真 コメントその他
藤咲けり

 スカイツリーを

     借景に
       
       玲子 日本一の借景ですね。
連なりて

  天神様の

    藤見かな
       
       玲子 太鼓橋に溢れる藤見客。
藤棚の

  どの隙間にも

     房の出づ
       
        玲子 藤満開。
藤の花

  風触れくれば

     匂ひけり
       
         玲子 高貴なしっとりとした香気。
三段に

  流れ咲きをり

    江戸の藤
       
        玲子 3段の藤の滝。
華やぎは

  太鼓橋に見る

      藤の花
       
       有三 カメラアングルが最高!
菅公の

   御姿に香れ

     藤の花
       
      有三 菅公もさぞご満悦!
芹が谷の
 湧水にじむ
    谷戸深く

 秘やかに咲く
    真白きカラー
       
       有三 芹が谷公園の一番奥にある湧水池。
亀戸の

 神のまにまに

      枝垂れ藤

       牧紀  以下の菅公の和歌に因んで:

この度は幣もとりあへず手向け山
       紅葉の錦神のまにまに


藤浪に

 押されて平橋

     太鼓橋

       牧紀 男橋を渡る賑い。

注:
鳥居を潜って直ぐの太鼓橋は男橋。生きてきた過去を。次の平橋が今現在を、次の太鼓橋が女橋で希望の未来をそれぞれあらわす。人の一生に見立てた”三世一念の理”と言うそうです。
天神の
 藤むらさきの
    咲き揃ひ

  淡き香りに
    心のみそぎ

        紀舟 平橋にて一服。
藤すだれ
 見守る先の
     女橋

 くれない似合ふ
    夢を湛えて

        紀舟 心字池の対岸から女橋を望む。
東京の

 シンボルと在り

       五尺藤
       
       牧紀 亀戸の藤は、「五尺藤」として大江戸のシンボルであった由。シンボルとシンボルの共演。
水面には

   届かザりけり

     下がり藤
       
       牧紀
残念ながら4尺程度か?

子規の短歌:

瓶にさす藤の花ぶさみじかければ
     
たたみの上にとどかざりけり
を念頭に。
喧噪の中

   藤の香に

      包まるる

       牧紀 人出で賑う中でも、藤棚の直下は静かに藤の香りがーーー。
俳聖を

  祀る社の

     藤の花
    
       牧紀 富岡八幡の掲題の片隅に、「芭蕉命」を祀る花本社があり、その近くの藤棚。
お不動さん
 四国遍路の
   ご利益も

  精進潔斎
    深川の春

       紀舟 内仏殿の1階の多数の仏像を拝し、二階にある四国八十八か所巡拝所も巡って、精進潔斎。
通り抜け
 御衣黄今ぞ
   見頃なる

 皇居の春の
  さみどりの風

       紀舟 皇居乾門通り抜け。御衣黄が見頃。
連れ立ちて

  お喋り多し

     藤の下

        淑如 藤の下の女子会?
夏隣り

   玉砂利道の

    かろき音

       淑如 明治神宮にて。

玉砂利の音が聞こえてきますね。
風とまり

   何が釣れたか

    惜しむ春

       淑如 寺家村にて。

何が釣れても、釣れなくてもーーー。
またの春

  相見る夫や

     道長く
       
       淑如 同上。

しみじみと情感がつのります。
書に倦みて

  咲きつぐつつじ

     数へけり
       
          学 「咲きつづく」ことが「つつじ」の語源の一説の由。

写真が見事に「咲きつぐつつじ」を捉えていますね。
夕闇に

  つつじは色を

     深めけり
       
          学 夕闇とともに、つつじのひと群が淡く浮かぶ。
すずらんの

   咲くや遥けし

      北の旅
       
        学 遥か昔、北の旅で出逢った鈴蘭の思い出懐かしく!。
春の園

   花の名問ひつ

     問はれつつ
       
        学 夫婦はかくありたい。
人まばら

   湿生花園

     春深む

        学 「春深む」にピッタリの被写体をみつけましたね。
屋台果て

   藤の香りの

    仄かなる
       
       ゆきお 亀戸天神の心字池の正面に向かって右側の端は小さな屋台の列。
牡丹咲く

   風は染まらず

   くぐりくる
       
       ゆきお
町田ぼたん園にて。

牡丹の熱き色にも染まらず、涼しい風がーーー。
直実の

  母衣膨らませ

      風光る
       
       ゆきお 熊谷草。えびね園にて。

屋島の沖目指して逃げ落ちようとする平家軍。追う熊谷直実にも見えますね!
昭和より

   平成見据ゆ

      藤の花
       
       未来 亀戸天神の藤の古木。
東京の

   象徴しのぐ

      藤の花
       
        未来 藤棚の貫録?
紫の

 藤に似合いの

   たいこ橋
       
      未来 藤紫と紅色のコントラスト。
高みより

  藤謳歌すや

     天神社
       
      未来 天神様はいつも空から見ていらっしゃいます。
下町の

  粋な人情

    藤まつり
       
       未来 地元の人の意気込みが感じられます。
京しのぶ

 舞妓帯かな

     藤の花
       
       水青 成程、舞妓のダラリ帯にも見えますね。
新緑を

 切り裂き下る

       神の水

         水青 エメラルドグリーンの神の水が渓谷に映える。
かいあって

   富岡製糸

     五月晴れ
       
       水青 富岡製糸工場他の世界遺産登録おめでとうございます。
ひっそりと

  色濃きスミレ

      芽吹く春
       
       和子 ひっそりと、でも何やら鮮やかスミレ草。
そびえ立つ

  石垣仰ぐ

      城の春
       
       和子 愛媛松山城の春。
待ちわびて

  芽吹き嬉しや

     ダリアかな
       
        和子 待ちわびた庭の皇帝ダリアの芽吹き!
わだつみの
 学徒遺稿を
   読みて知る

 その理不尽に
   ただ涙する
       
       和子 「わだつみの声」をもう一度聞いてから自衛権を考えよう!
竹の子も

  この背丈では

      役立たず
       
       水白 健やかに育って下さい。
春夕日

  ビル火事の如

     燃え上がる
       
       水白 一瞬のシャッターチャンスを生かしましたね。
春が来た

   蛙のこどもに

      春が来た
       
        水白 なるほど。
舞姫や

  美を競い合ふ

      藤の花
       
       水白 演目は藤娘?
春日和

   寄らば大樹の

      陰とやら
       
        水白 子供たちが安心してあそんでいますね。
老いし木に

   藤ふさ重く

    咲き競ふ
       
       小鈴 老いてなお健在!!
池巡る

   香漂いし

    藤の浪
       
      小鈴 心字池隠すほどなり藤の浪。
覗き見て

  仰ぎて愛でし

     藤の花
       
       小鈴 屋台の間から、女橋を望む。
咲き誇る

 藤見下すや

  スカイツリー
      
        小鈴 スカイツリーは四方八方、四季折々の花を愉しんでいる?
境内を
 彩る藤の
  見事さに

  人々集い
  今日を楽しむ
       
       くに 100株余りの藤を何年にもわたって育てて頂いている地元の方に感謝しつつーーー。
雨に濡れ
 牡丹の花や
   散りゆかむ

  一つの花の
  季節が終わる
       
        くに 一つの花の季節が終わり、一つの花の季節が始まる。
うらうらと
 春の日やがて
    暮れなずみ

  白さ際立つ
   姫うつぎの花
 
          くに うつぎの白色は鮮やかですね。
写生する

  母娘の姿

     風薫る
       
       くに これぞ日本人の和の心。
山藤や

  弦のブランコ

    遠い日々
       
        くに そういえば、昔里山で見かけましたね。
懐かしき
 想い偲びて
    訪ぬれば

  君の色香は
  変はらざりけり
 
         筑山 藤紫への老いらくの恋も実って、万感の思い。
春うらら
 橋の上より
    望まるる

   天に通ふや
    新しき塔
 
         筑山 スカイツリーも藤霞み。
天神の
 心を映す
    藤の花

  梅に勝りて
  水面に映ゆる
 
         筑山 菅公の梅に寄せし昔の思い
水に流して晴れやかな藤



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