2020年5月 写真俳句短歌集


開催日時:  2020.5.12(火)  テレワーク例会

兼題:      「風薫る又は自由」
概要:
   当月は「風薫る又は自由」題で作品を募集し、加え、事前にお知らせ
   した課題写真「筍は初夏の香り」に関する作品を併せて募集し、
   4月に続き、インターネットとメールによるテレワークにて披講に供し、
   まとめた後
   その記録は同好会HP「例会の記録」欄に、又、作品集は従来通り
   「兼題例会コーナー」にアップしました。

写真俳句短歌



<第一部>



風薫る 雨後の野の花 眩しけり       玲子


薫風や 七国峠 静まれり       玲子
 鎌倉古道にある峠。古道は平安時代から江戸・明治まで重要な街道であり、
この相原にある峠からは関東の七州が見えたとのことです。

   因みに、七州は相州(相模)、武州(武蔵)、上州(上野)、
   常州(常陸),房州(安房)、豆州(伊豆)、駿州(駿河)ー(牧紀)


風清し マスクはづして 深呼吸     玲子


躑躅見上ぐ 付く足音の 止まりけり    玲子

竹の子や 会へぬ家族を 胸中に    玲子


藤連れて 水面に浮かぶ 太鼓橋    隆夫


白藤や 思い出の中 我歩む     隆夫


カーネーション 飾る傘寿の 独り膳   未来


翅休め ゆらり飛び立つ 黒揚羽     未来


風薫る 傘寿祝ひの サキソホン      未来


触れ合いも 半分くらい 水遊び     未来


レンズ越し 踊子草の 傘の影     未来


万葉の 気品変はらぬ 藤の花     未来


耐へること 多過ぎてはや 五月入る       淑如


薄暑なる 帰郷せぬ人 空仰ぐ      淑如


移り行く 日差しを追へば 余花に逢ふ   淑如
 残花は春、余花は初夏の季語と知りました。日本語の奥深さを感じました。


大丈夫 季節は巡り 若楓       淑如


コロナ禍の 校舎彩る 芝ざくら      和子




残りイガ 真青の空に 串団子       和子


春景色 在りし田舎の 続く道      和子


土のつく タケノコ前に 思案顔      和子


風薫る 町田の空や 変はりなし     牧紀


名刹や 皐月の風の 吹きどころ      牧紀

 1500年半ばの開山。福寿山幸延寺。古銭所蔵で有名。開元通宝(621年)等。
皐月の風に誘われて往訪、初めて知ったーーー!山号寺号も又良し。


薫風に 連れられ歩む 境川     牧紀


雲流れ 赤目の風の 薫るかな     牧紀


   花を見て留まる雲よ君知るや
      ステイホームの我慢ウィーク   紀舟


翡翠や 若木揺るるも 動かざり     牧紀
 カワセミの動かざること山の如く、しずかなること林の如し。


並木から 吹きだす風の 薫りかな       ゆきお


薫風に 片耳で聞く 水の琴        ゆきお
 堂之坂公苑の水琴窟。寒い時は竹に耳を付けることを躊躇する。
 薫風空を行く時は落ちる水音を琴と聞き肌で初夏を感じる。


薫風を 掴み損ねた 綿毛かな       ゆきお


薫風や 尺取の腹 通り抜け       ゆきお
 石畳の上を尺取虫が急いで歩いている。
尺を取るために曲げた腹の下を薫風は優しく通り抜けて行く。


夏椿 そろいもそろって 同じ顔      吉夫


藤棚に たわわに垂れて 四つ五つ     吉夫


ロマンスカー さつきの雲を 引き連れて   吉夫


オダマキの 主張もせずに 咲いてをり   吉夫


紫の 揺れ揺れ動く 花菖蒲       吉夫


町田にも 信濃と同じ 風薫る       すすむ


肩落とす 初老の背にも 風薫る       すすむ


薫風の 家族の列に 寄り添ひぬ       すすむ


これからの つつじをそっと 見守りて        すすむ


慈悲の目の 行き着くところ 紅椿      すすむ



緑差す ベンチで書読む 二人連れ    くに



吾と共 根付きし躑躅 今盛り       くに


群れて咲く 射干(しゃが)は郷愁 誘ふ花      くに


山藤の 垂れて風呼ぶ 昼下がり     くに


久々や 小綬鶏の声 藪にあり      くに


新緑や 防空壕を 教へらる       くに


花散って しばし歩道や 馬車の道    きよし


マンションの 谷間の路や 花水木    きよし


園児の声 途絶へひと月 風五月    きよし


故郷も 今が盛りか 山躑躅      きよし


    生と死を見つめて生きる患者等の
         気の流れくる廊下廻りぬ  きよし
 4月28日から5月5日まで、脚の血管手術で北里大学病院に緊急入院しました。
 同じ階の患者さんは重い心臓病を抱えた人が多く、廊下を歩いているとその気配
 を感じました。


     手術後の試歩の廊下で見る夕日
         明日への気力吾に与へり  きよし
 手術した次の日から歩く練習をしました。フロアを一周する途中に見た夕日が
 とっても綺麗でした。


葱坊主 ただ頑なに 意地通し      小鈴


群がりて 蝶舞ふ姿 花水木       小鈴


春愁や まだ終はりなき コロナ戦     小鈴


蜜蜂や 花から花へ 蜜を請ひ     小鈴


 風そよぐ アリスの国に 迷ひ込み     小鈴



八重桜 真青な空を 独り占め     波


赤青桃 チューリップ伸ぶ 真っ直ぐに    波


佇めば 柿の若葉に 染まりけり     波


イベント無し 鯉のぼりなく 空真青    波


公園に 人影絶へて 藤揺れる     波


石楠花や 外出自粛 癒さるる      波


白鳳仏 ゐます御堂に 風薫る     有三


草枕 外出自粛し 柿若葉      有三


ひとめぐり カラーの花の 五月かな  有三



めぐり来て しゃがんで眺む 杜若   有三




第二部

課題写真作品

筍は初夏の香り





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