鎌倉紫陽花吟行


  写真俳句短歌同好会の6月の行事として、「鎌倉紫陽花吟行」を実施しました。
シンパの方を含め下見会10名吟行会当日14名の方が参加されました。

 ルートは、町田駅から小田急線にて藤沢駅に。ここで江ノ電に乗り換え、極楽寺駅にて下車。極楽寺ー成就院ー長谷寺散策を主とし、
ここからオプションにて、鎌倉駅に出、バスにて明月院へ。更に東慶寺を併せて散策後、北鎌倉駅へ。大船ー藤沢経由で町田駅に帰着。

両日とも梅雨の晴れ間に恵まれ、鎌倉の花と風景を愉しみました。
7月12日(火)の例会で、鎌倉紫陽花吟行を中心に兼題「紫陽花又は自由」で一般投稿句歌も含めて、皆で披講に供しここにアップしました。
         
    吟行会:H23.6.28(火) 14名

    下見会:H23.6.24(金) 10名
    鎌倉の梅雨の晴れ間を縫う如く
          シニア集い紫陽花吟行
   (紀舟)


(吟行会参加者14名)

(下見会参加者10名)


写真 俳句、短歌 コメントその他
極楽寺
 夏日の中に 
  吐き出され

ツアーに揉まれつ
      紫陽花逍遥

        紀舟 極楽寺駅で他のツアー客とともに炎天に吐き出され、吟行開始。
極楽や
 
 渦紫陽花の

    渦の中

      牧紀 極楽寺境内では、ウズアジサイが満開。
新緑も
 
 肌隠しえず

    百日紅

      牧紀 極楽寺の大百日紅の木。新緑を迎えても木肌は生々しいこの活力!
鎌倉の
 海見下ろして
    咲き尽す

 成就院の
   坂の紫陽花

       紀舟 成就院前の下り坂に沿った紫陽花は鎌倉で1、2を競う名所。
いざ鎌倉
 紫陽花ついて
    一駈けり

 坂東武者も
  勇み立ちけむ

       紀舟
成就院前の坂の上に立ち
新田義貞の鎌倉、北条攻めゆかりの地を思う。
地に落ちて

 なお見つめしや

     夏つばき

         牧紀
成就院の夏つばき

満開のまま地に落ち、未練かな!


(尚、写真は、小金井さんから借用しました)
鎌倉の

 砂巻く波や

   梅雨の海

       牧紀 下見の日は、特に大気が不安定で風強く、濁った白波が材木座海岸に打ち寄せていた。
鎌倉の

 屋根照り返し

    冷やし麺

        牧紀 長谷寺、展望台近くの海光庵にて暑い鎌倉の街を見下ろしながら昼食。冷やし蕎麦が涼を誘う。
紫陽花も

 遍く照らす

   吊り灯かり

       牧紀 仏の光は、万物に平等に!
クレナイや

  玉三郎の 
   
   くちびるに

        牧紀 「クレナイ」は紫陽花の新品種の由。美人女形「玉三郎」の口紅色。
明月院
 山門飾る
  姫紫陽花

 うつろふ気配
  藍にぬりこめ

       紀舟 明月院の姫紫陽花もそろそろ老境に近いが、シニアを感じさせない青紫に乾杯!
明月院
 飾る紫陽花 
  姫あじさい
 
 紫陽花らしき 
  青きあじさい

       紀舟 「紫陽花」づくしの狂歌もあり?
端居して

  あおの静寂

    明月院

       牧紀 以下2句:

明月院奥座敷の丸窓の縁に坐り、庭園の静寂と涼風を聴く。
明月の

 窓に静寂

   端居かな

       牧紀 同上
紫陽花や

 竹林の陽の

   注ぎ居り

       牧紀
以下2句連句。自然界も相互扶助、共存共栄、夫唱婦随。

竹の木漏れ日紫陽花に!
紫陽花の
  ぼんぼり
 雪洞 竹もと

   照らし居り

       牧紀 紫陽花の明かり竹の根に!
紫陽花の

  門開き居り

     東慶寺

        牧紀 駆け込み寺「東慶寺」は紫陽花の開花に拘らず、いつも開門。当たり前!
断崖の
 墓地しめやかに 
      岩煙草

 駆け込み寺の 
   御霊守りて

       紀舟 「東慶寺」の最奥向かって右側の断崖に岩煙草の群棲地がある。
下見の時、満開の様であった。
岩肌に

 つゆの癒しや

     岩煙草

        牧紀 「岩煙草 似た葉に小花 濃紫」
なんとも可愛い花ですね。
紫陽花も

 江ノ電も追い

    群れ動く  
        
       牧紀 シニアも子供に帰って、「電車」に夢中!!
咲き満ちて

 あぢさゐ道を

   せばめけり  
        
        学 「せばめけり」が写真と良くマッチしていますね。
奥宮へ
 いざな
  誘 ふ階の
   よひら
   四葩かな  
        
       学  和服姿を捉える一瞬のシャッターチャンス!
菖蒲日和

 撮る人画く人

     歩く人  
        
        学 それぞれの人生の縮図
ひとすじの

 黄色ほのかに

    白菖蒲  
        
       学 ひとすじの黄色が白を引き立たせてますね。
白は清楚

 紫はみやび

    花菖蒲  
        
       学 一方の「は」はとって、「紫みやび」のほうがリズム感は出ますね。
菖蒲田や
  うち
 笠の中なる

   をさな顔 
        
       学 観察が鋭いですね。
愁ひもつ

 ものは美し

  濃あぢさゐ  
        
      せつ子  なるほど「愁いを帯びた青」ですね。
睡蓮に

 鯉に閑かな
    とき
    刻 流る  
        
      せつ子 閑静な場所、閑静な時間を大切にしましょう
純白に

ほんのり紅さす

    四葩かな
     
        竜 うす紅が本当に綺麗ですね
紫陽花に

 煌めく光と

    石の塔

        竜 鄙びた石の塔に紫陽花が映える。
海望む

 七色変化の

    道を行く

        竜 綺麗な紫陽花坂でしたね。
紫陽花に

 円筒ポストの

    懐かしさ

        竜 赤いポストに染められた赤紫陽花。
弾んでる

 ダンスパーティと

    云う紫陽花

         竜 本当に華やかな紫陽花ですね。
言葉なく

 去り行く君に

    梅雨の花

       隆夫 お見事!言葉なし。
残り香に

 終わり紫陽花

     心閉じ

       隆夫 花の色は移りにけりなーーー?
軒先に

 母の香りの

    かざ車

      隆夫 男はいつまでも母親の面影を背負っていますね。
鎌倉の

 海色に染む

   濃あぢさゐ

       未来 「海色に染む」が良いですね。
七変化

 小町娘の

   名を貰ひ

      未来 この紫陽花の名は「小町」
岩煙草

 縁切り寺の

    風の色

      未来 最近は、女性のほうから「縁切り」とか。男性の「駆け込み寺」が必要になるかも?
虎の尾や

 ここに小さき

     仏達

      未来  小仏に虎の尾の献花。
枯山水

 翳やはらかき

    夏の午後

       未来 砂の海に翳がくっきり。この日も暑かったですね。
半夏生

 母の齢へ

   一歩づつ

     きいろ 多くの方が、同じ心境に近づきつつあるのでしょうね。
延々と

 息づく山葵田

    薄暑かな

      きいろ 何ともワビ、サビとかけ離れた情景ですね!
小学生の

 やうに整列

    夏野菜

     きいろ なるほどそうゆう見方も出来ますね。
梅雨晴間

 はじかれ踊る

     芋の露

      きいろ 梅雨の晴れ間の愛らしい情景。
「行って来ます」

 そして「ただいま」

      夏つばき

       きいろ お気に入りの夏つばき
紫陽花や

 露こらへずに

    友の逝く

       遊歩 そういう世代ですね。
江ノ電や

 紫陽花横目

   ちらり見て

       遊歩 片目でちらりですね!
岩たばこ

 紫煙くゆらし

   咲きて居り

       遊歩 たばこに似た葉に紫煙を燻らす小花。
炎天下

 南無虚空蔵の

    祈りかな

       遊歩 亡き友にも祈りよ届け!
梅雨晴れの

 中に写経する
   ひと
   女人の居て

       遊歩 吾も一緒に写経したい心境?


尚、写真掲載は遠慮しました。
枇杷もぎて

 訪いし晴れ間の

     土産かな

       和子 枇杷に優しい光り。
訪問先から枇杷を土産に頂いた嬉しい気持ちと先方の心づかいが見えるようです。
真夏日に

 熱き恵みの

    茶嬉し

      和子 御霊神社で滋野さんから頂いた熱いお茶に感謝!
涼やかな

 風こそ慈悲の

     心かな

       和子 坂の途中で一陣の涼やかな風。感謝感謝!
うつろひの
  人の心ぞ
  かなしけれ 
  
 花に埋もる 
  慈悲の微笑み

       和子 仏様の強い慈悲の眼差しに射すくめられるよう。
紫陽花や

 古都鎌倉の

    藍の色

      玲子 長谷寺正門近くの大鉢植えの「鎌倉」と銘打たれた見事な紫陽花。
極楽の

 戸片くぐりて

    いと涼し

       玲子 「戸片(とひら)」→「扉(とびら)」の由。
くれない
 紅 の

 あぢさゐ花の

   みひらかな
    
       玲子 「クレナイ」と命名された紫陽花はなぜか四葩にあらず三葩?
菖蒲田の

 静けき色や

     心解く

       玲子 明月院丸窓の縁に坐って庭を眺めていると、本当に心が和らぎますね。
紫陽花は

 乙女心の

   恥じらいか

       水白 この紫陽花は本当に「恥じらう乙女心」そのものですね。
紫陽花の
  花色の如くに
   移りゆく
  
 吾が人生を
  楽しまん哉

      水白 人生色々ーーー。
紫陽花や
 いろあざ
  艶彩やかに
    水したり 
  
 隠れ枝にも 
  咲き振りを見よ

       水青 紫陽花の大木の下の小枝にもしっかり花を付けていることに感動。
江ノ電も
 行きも戻りも
   夢を乗せ 
  
 紫陽花囲む 
  カメラよ重く

       水青 江ノ電が来るたびカメラマンが右往左往。中には、重そうなカメラも!
古都の家の

 裏木戸道や

    岩たばこ

       小鈴 流石は古都鎌倉の古民家道。
岩たばこ

 露滴りて

    光りおり

       小鈴 イワタバコは静かな古都鎌倉を象徴するような花ですね。
鶯の

 声涼やかに

    切り通し

       小鈴 鎌倉古道の切り通しに鶯の声。良いですね!
みずすまし
 水馬 

 溜まりに群れて

     弧を描き

        小鈴 中々面白い情景ですね。
露の玉

 残して梅雨の

    雨上がり

      小鈴 それにしても一面の玉の露ですね。
六地蔵

 濃あぢさゐに

   艶めきけり

       忠裕 お地蔵さまのお顔が何とも良いですね。
あぢさゐの

 移ろふ色に

    惑ひけり

       忠裕 紫陽花の七変化。
遺影手に

 歩く人をり

    花菖蒲

      忠裕 去年は一緒に菖蒲巡りをしたのにーーー。
五月雨や

 三滝の音を

    重くする

       忠裕 「重くする」が効いていますね。
梅雨晴や

 赤黄緑の

   子らかける

       忠裕 なるほどカラフルですね。
梅雨晴間

 ナイトゲームの

     声ひびく

        忠裕 横浜球場のナイター観戦の由。
仰ぎ見る

 鎮守の杜に

    水木咲き

       有三 御霊神社にて。緑深き頃。
境内に

 白くこぼれし

      夏椿

       有三 散ってもなお純白を失わずーーー。
嘘は罪

 濡れて魅せます

     額の花

       有三 紫陽花の罪?見る人の罪?
紫陽花の

 風に包まれ

    鎌倉路

       くに 鎌倉には、紫陽花の風が似合う
とんぼ来て

 吾に蓮の名

    教えけり

       くに 「唐招提寺」という名の蓮の由。
夕焼けも
  海の匂ひも
  変わらねど
  
 過疎となりゆく 
   ふる里寂し

       くに 故郷、能登の変わらぬ夕景色。去り難い想いーーー。
鎌倉や

 紫陽花海を

  恋しがり

    ゆきお 写真と見事にマッチしていますね。
紫陽花や

 人波にどっと

  押しやられ

     ゆきお どっと押し寄せる波の音も聞こえてきますね。
もののふの
 立ち出づるごと
     門前の

 あぢさゐ凛々し
   藍を極めて

       花音 以下3首、長谷寺の紫陽花「鎌倉」の凛とした美しさを詠う。
長谷寺の
ラビスラズリの
  あぢさゐや

  かまくらという
   名も誇らかに

       花音 同上
瑠璃群青
 藍を集めて
   極まれる

 鎌倉という
 あぢさゐの花

      花音 同上
あぢさゐに

 抱かれて古都の

     まがり角

       花音 鎌倉は、街角の至るところに紫陽花が咲いている。
四葩なる

   花面白し

   古都の寺

     花音 鎌倉の古寺には額紫陽花が似合う。
あぢさゐの

 手向けそれぞれ

    庫裏の花

       花音  それぞれの紫陽花に思いを込めてーーー。
幾たびの
 合戦見しや
   成就院

 浜穏やかに
 さざ波寄する

       筑山 鎌倉の今昔物語の由
梅雨晴れの
 菖蒲の里の
  いわ
  謂 れ花

 手弱女ながら
  凛として立つ

       筑山 一見「手弱女」ながら、凛と立つ女性がSNMメンバーには少なくない?
朝未だき
 かんばせ
  顔 匂ふ
   おぼろ花

  比翼連理の
    悲恋を偲ぶ

       筑山 芙蓉を楊貴妃に見立て、長恨歌の世界を偲ぶ?
孝なるや
 ゴーヤの蔓は
  見へずとも

  道を求めつ 
      あない
   親を案内 す

       筑山 蔓と本体を親子に見立てて、働き者の孝行息子を表現。
茄子きうり
 とうもろこしに
    馬鈴薯と

  吾が菜園に
   いのち溢るる

        筑山 近くのお知り合いから、吾が家庭菜園の如く新鮮な”いのち溢れる”野菜を頂く。
モラージュの
  中へ構へし
   吾が書斎

  琥珀紫煙で
   想い廻らす

      筑山 近くのショッピングセンター内の喫茶店「モラージュ」の中に、吾が書斎の如く紫煙を燻らす至福の空間!
紫陽花と

  極楽寺駅

     人溢れ

        三樹 この時季、極楽寺駅は、紫陽花と観光客に包まれる。
岩煙草

 咲きて燦然

     置き仏

        三樹 置き仏を供養する岩煙草。
あぢさゐの

 花を透かして

     材木座

        三樹 長谷寺の高台の紫陽花を通して材木座海岸が手に取るように見える。

獅子吼すやに

  海紅豆咲く

     龍口寺

        三樹 黒南風の

 洞奥御座せる

     御仏よ

        三樹 潮音の

 塑像に昼寝

     島の猫

        三樹

<追記>

吟行会に参加されたSNM会員の浅田恭夫さんからも投稿頂きました。


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