紅葉の平林寺吟行


 
 写真俳句短歌同好会の11月の行事として、
 「紅葉の平林寺吟行」を実施しました。
 シンパの方を含め、下見会5名、吟行会当日
 15名の方が参加されました。
 当日は、町田駅から、登戸、府中本町経由
 新座駅下車。路線バスで平林寺総門前に到着。
 晴天に恵まれ、武蔵野の面影を残す紅葉逍遥
 を愉しみました。
 紅葉林の下で団欒の昼餉をすませ、ここで、
 二手に別れ、時間の許される方は、平林寺の
 外の野火止緑道を歩いて新座駅へ戻りました。
 12月14日(火)の例会で、平林寺吟行を中心
 に、兼題「平林寺吟行又は自由」で一般投稿
 句歌も含めて、皆で披講に供しここにアップ
 しました。
         <概要>
 吟行会:H22.11.30(火) 15名
 下見会:H22.11.25(木)  5名
 吟行ルート(下図参照): 
  総門ー山門ー仏殿ー半僧坊ー放生池(経蔵)
  ー松平信綱墓ーもみじ山前休憩所(昼食)
  もみじ山周遊ー野火止塚ー業平塚ー信綱墓横
  ー鐘楼ー中門ー本堂ー総門へ
 
(尚下見の際は業平塚から歴代塔所まで廻る)

(平林寺案内パンフレットから)
    平林寺全山紅葉に彩られ
       野火止水路に武蔵野を見る
   (紀舟)


(平林寺案内パンフレットから)

写真 俳句、短歌 コメントその他
紅葉に

  染まりて広し

      平林寺

       牧紀 武蔵野の野火止台地に建つ平林寺。紅葉を見て歩き、その紅葉林の美しさと広さを再認識。
総門に
  ひしめ
 犇きあいて

   紅葉狩り

      牧紀 予想通り、境内は紅葉客で一杯。紅葉に酔い、人に酔いーーー。
山門の

 紅葉ばやしに

    息を呑む

        牧紀 山門付近は下見の時が盛り。紅、黄の紅葉林に囃(はや)されて、息を飲む美しさ!
仏殿の

 紅葉重たき

   檜皮葺き

       牧紀 分厚い檜皮で覆われた仏殿の屋根に圧し掛かるような紅葉!
半僧坊

 只見惚れをり

    彩もみじ

        牧紀 写真の中の二人(?)と只見惚れおる我。
経堂の

 池に紅葉の

    輪廻かな

        牧紀 経堂の盛りの紅葉と共に、池の散り紅葉が輪をなして、「輪廻」を語るかにーーー。
吟行の

 紅葉の昼餉

    箸やすめ

       牧紀 もみじ山の手前でひと休み。昼餉の団欒、周りは紅葉!
武蔵野之

 面影紅葉

    平林寺

       牧紀 もみじ山の紅葉は武蔵野の面影が色濃く、奥深い佇まい!
野火止の

 塚に潤める

   紅葉かな

       牧紀 野火止台地開拓者の霊を弔い、もみじ葉も焦点定まらず?
業平の
 東下れる
  武蔵野は

  花も紅葉も
  なき枯野かな

       紀舟 プレーボーイの先駆者といわれている業平には、枯野より見事な紅葉が似合う。
鐘楼の

 響きに染まる

    紅葉かな

        牧紀 鐘の響きが、交響曲となって、あたりの紅葉が染まるかな?
禅寺の

 書院に凛と
        
     紅葉林

        牧紀 立派な紅、黄の紅葉が書院に対峙して一幅の絵のように凛と立つ!
禅域を

 仕切る紅葉や
     なかの
      中 門

        牧紀 中門の外は見事な紅葉!
紅葉の浮き世、紅葉狩はここまで!
本堂を

 常磐木包む

    暮れの秋

       牧紀 本堂及び向かって左手にある禅堂は、いつも変わらぬ常磐木に包まれてーーー”禅の世界”。
のびのびと
 育ちし紅葉
  散りそむる

 禅の大地に
 還る秋(とき)かな
       
         紀舟 野火止の 禅の大地に 散る紅葉

紅葉マーク世代の覚悟!!
山門を

 入るやずいーっと

      照り紅葉

         学 山門を潜ると、色とりどりの紅葉が目に飛び込んできますね。
まどゐ
団欒 とは

 紅葉の下の

    昼餉かな

        学 紅葉良し、話良しの昼食でした。
花見客と違って、皆さんお行儀良く紅葉を鑑賞されていました。
ひとところ
 も
 炎ゆる紅葉や

     並木道

        学 歩く二人のもえる想いが伝わってきますね。
冬晴や

 木漏れ日淡き

     ぶな林
       
        学 淡き木漏れ日、淡き落葉、淡きぶなの木肌のハーモニー
膝つくや

 櫻落葉に
     
   温みあり

       学 様々な枯葉の厚みと特に赤みを帯びた櫻やみずきの落ち葉には温みを感じます。
紅葉見に
    いろ
 紅葉は 彩 を

   つくしけり
       
      せつ子 紅葉も精一杯彩を尽くしています。我らも頑張らなくちゃ!
すなど
 漁 れる

 鷺の流し目

  冷ややかに
       
      せつ子 野火止用水路に未だ小魚が居るのを知っている様子でしたね。
近寄る人間には目もくれず、じっと獲物を狙う目つきの鋭いこと!
墓守は

 いろは紅葉を

     揺らす風
       
        未来 「知恵伊豆」と呼ばれた松平信綱公も武蔵野の四季の風に見守られて幸せですね。
紅葉の

 野火止塚に

    陽の遊ぶ
       
       未来 文字通り野火止の用水。火遊び(?)は厳禁。
むさし野に

  業平忍ぶ

     冬日和 
        
       未来 その昔、塚上に「むさし野にかたり伝えし在原のその名を忍ぶ露の古塚」の歌碑があった由。
枯葉散って

 午後の日差しの

    やはらかき
       
        未来 積み重なった枯葉の上で、午後の日差しをあび、昼寝が最高?
一陣の

 風に枯葉の

   降りしきる
        
       未来 一陣の落葉しぐれに度々癒された野火止緑道歩きは良かったですね。
山門を

 入りて紅葉に

    溺れけり
        
       玲子 山門に入ると、紅葉、黄葉、椛、もみじーーー!溢れる紅葉に溺れけり。
野火止の

 名残りの塚や

    紅葉燃ゆ
        
       玲子 野火止塚は華の紅葉の春の時かも?
梵鐘の

 高くに在りて

    紅葉かな
        
       玲子 何とも見事なアングルですね!
本堂は

 静寂なりぬ

    紅葉狩
        
      玲子 中門の奥の本堂は本当に静かでしたね。
名刹の

 半僧坊の

   薄紅葉
        
     玲子 数ある紅葉の中でも、半僧坊周辺の紅葉のグラデーションが見事でした。
蒼天に

 吸い込まれゆく

     紅葉かな
        
       有三 紅葉には、勿論「蒼天」が似合う!!
後先は

 風に任せよ

   散る紅葉
        
      有三 これこそ、紅葉世代の覚悟!!
野火止の

 水に落葉の

    迷い道
        
      有三 入り組んだ水路が境内林の命。野火止用水に感謝。
夫(つま)語る

 燃へる紅葉の

     平林寺
       
       淑如 夫唱婦随の写真俳句。平林寺の紅葉も満足でしょうね。紅葉が一段と紅い!!
街広場

 イルミネーション

     親子連れ
       
        淑如 イルミネーションに浮かぶ親子連れの微笑ましさに心の明かりを感じた?
紅葉且つ
     きわめ
 散りて究 る

    紅深し
        
      花音 散りて猶、太陽の恵みを取り込むか?禍々しいまでに紅残す。
君といて

 充たされてあり

     照紅葉
        
        花音 至福の時。至福の空間。
おさなごの

 ほほにもみじの

     紅のいろ
        
       花音 何とも「ほほえましい」!
照り映へし
 林を行けば
   紅色の

 光あふれて
 こころ華やぐ
        
      花音 「紅葉浴」は、心を明るくする効能があります。本当?
散り敷ける
 くれない溶けて
    木に還る

  幾年月の
  もみじの輪廻
        
      花音 厚く溜まった落ち紅葉を踏むと「もみじの輪廻」、人生そのものを感じますね。
野火止の

 古刹を彩る

   紅葉かな
       
      忠裕 今を盛りの見事な紅葉に出会えましたね!
木曾街道

  滝を装ふ

    冬もみぢ 
       
       忠裕 滝水、音に励まされ精一杯紅を保つ冬紅葉。構図が決まっていますね
小春日や

 柱状節理の

    深き淵
       
      忠裕 小春日を受けて、白い岩肌が、深く水中に没す。
秋深し
     かけはし
 木曾の 桟

     谷険し
  
      忠裕 谷深く、水深く、秋深し。
紅葉に

 指先そめし

   日を想ふ
       
      菜海 若き日の真っ赤なマニキュアを懐かしく想う。帰れるものならーーー
浮き沈み

 繰り返しつつ

    師走来る
       
       菜海 手水に浮き沈みするもみじ葉から、j自身の1年を振り返る。浮き沈みつつはや師走の感!
晩秋の
 武蔵の寺の
   境内は

 色取り取りに
  紅葉綾なす
        
      筑山 いろはにほへとちりぬるを
風もなく
 関もなけれど
   京の日に
   せ
 道も狭に散る
  薄紅葉かな
        
      筑山 わかよたれそつねならむ
うゐのおくやまけふこえて
行く先に
 何の待つやら
  知らねども

  心の躍る
   錦の小道
        
      筑山 あさきゆめみし、ゑひもせす。
日向なる
 華の紅葉を
  想いつつ

  陰で支える
  野火止の水
        
      筑山 太き根も華の紅葉も感謝!感謝!
奥山の
 名も無き寺の
    椛葉は

  心静かに
  凛としてあり
        
       筑山 椛一点常磐みどりに守られて?
神々の
 渡る袂に
  佇みて

  一人静かに
  仰ぐ吾かな
        
      筑山 神の袂に掬われて、空から紅葉を見てみたい?
静寂に

 わずか紅葉の

    息づかい
       
      きいろ 一瞬、人いきれ無く、紅葉の息吹きが伝わってきますね。中々の句です。
小春日の

 紅いトンネル

   切れ目なく
       
      きいろ 何とも明るいトンネルでしたね。
冬紅葉

 散り際に色

    絞り出し
       
      きいろ 散る前の最後の見事な輝き!

われ等も最後の一働き、ご奉公を!!
山門を

 潜りて紅葉

    続きおり
       
      小鈴 総門、山門を潜るとまるで、紅葉銀座でしたね。
紅葉道

 唯感嘆の

    吟行会
       
      小鈴 空良し、友良し、紅葉良しの吟行会でした。
修行僧

 大根洗ひて

    冬仕度
       
      小鈴 流石、禅寺の若き修行僧はきびきびしていました。
散紅葉

 老ひたる時も

     美しく
       
      小鈴 我らは、シルバーエージ。紅葉は、ゴールドエージ?
暮早し

 平城宮の

  夢のあと
       
     小鈴 平城遷都1300年。新たな夢の始まりかも。
紅葉を

 映して瀞峡

    水清し
       
      小鈴 清き水は、四季それぞれの色に染まる。
くれなゐの

 殊にくれなゐ

    冬うらら
       
      美穂子 晴天に恵まれた吟行会。ここの紅葉には一段と艶がありました。
里山は

 昭和の香り

   冬ぬくし
       
     美穂子 野火止緑道の一風景。武蔵野が色濃く残っていましたね。
土に還る

 までを輝く

   落葉かな
       
     美穂子  紅葉の生命力。見習いましょう!
武蔵野の

 十一月を

  惜しみけり
       
     美穂子 十一月尽。武蔵野の紅葉の最後の耀き!また会う日まで!
落葉踏む
    あうら
 ほぁと足裏を

     喜ばす
       
      美穂子 黄色の絨毯。足取りも柔らかく。晩秋を満喫。
もみじ散り

 江戸小紋柄

   染め上げし
       
       隆夫 江戸小紋の絵柄よろしく、もみじ落葉が決まりましたね。
散り紅葉

 いずこに消える

     赤いまま
       
       隆夫 見事な紅を蓄えていますね。太陽も惜しみなく降り注いでいます。
赤とんぼ

 幼き日々を

    巡りめく
       
       隆夫 黄金の時が走馬灯の如く、巡りめぐる。
蘭陵の

 撥指すかたや

     山眠る
       
      ゆきお 厳島神社の「蘭陵王」の故事による舞。以下3点。
冬陽さす

 仮面の下の

   若さかな
       
     ゆきお 口もとに何とも若い色気が感じられます。
小春日や

 蘭陵海へと

   帰りけり
       
     ゆきお 蘭陵王の短き生涯を象徴する如く?
見あぐれば

 皇帝ダリア

   宙にあり
       
      芳翠 皇帝ダリアは名のとおり、大きく育ち、天辺にも大きな花を開きます。
燃える木の

 わが庭にあり

     秋深し
       
       芳翠 「燃える木」は、自慢の娘かな?
姫つばき

 歩を止め愛でつ

     人の行く
       
        芳翠 何とも綺麗な色合いですね!誰でも足を止めて、見入るでしょう。
小春日を
 家族四人と
   一匹で

 歩みし頃の
  ふとよぎる道

       芳翠 古き、懐かしき想い。年を取った証拠?
黄落の
 木々くぐり抜け
     歩を進む

 声なき人の
    影に誘われ
       
       芳翠 同上
冬晴れや

 皇帝ダリア

   凛と咲く
       
      仁昭 皇帝然として、冬晴れの空に君臨していますね。
発つ日まで

 鯉と戯むる

     池の鴨
       
       仁昭 発つ日に備え、心の準備。
番(つが)いかも?
歓喜沸く

 星座に流る

    電光飾
       
      仁昭 クリスマスイルミネーションで星の世界に!
冬紅葉

 静けき時を

   包むかな
       
      仁昭 冬紅葉の柔らかい木漏れ日のもと静かな時が流れるーー
歩を踏めず

 寂を感ずる

   落葉かな
       
      仁昭 落葉道の静寂!!一瞬足を止め。
木漏れ日に

 キラリと光る

     影紅葉
       
       恭夫 「影紅葉」が良いですね!
紅葉越し

 行き交う人を

     慈しむ
       
       恭夫 中々良い構図を見つけました。「慈しむ心」の賜物ですね。
松葉落ち

 紅葉の枝で

    一休み
       
      恭夫 観察が鋭いですね!
野火止の

 落葉の道を

   行くシニア
       
       恭夫 落葉踏むシニアの楽しい足取りが聞こえてきます。
落ち葉舞ふ

 流れに立ちて

    餌を待つ
       
       恭夫 餌を狙い動かぬ鳥と舞い散る枯葉のハーモニー。
ページTOPへ戻る


HPへ戻る


inserted by FC2 system