09観梅写真俳句短歌集



 観梅吟行会

  実施日(下見): 2009.02.19(木)
      泉岳寺、亀塚公園、芝公園、芝大神宮、増上寺、愛宕神社、NHK放送博物館
      参加者11名
  実施日(当日): 2009.02.28(土)
      泉岳寺、亀塚公園、芝公園、増上寺、湯島天神、旧岩崎邸庭園
      参加者19名

      尚、今回は、古典勉強会の方と合同で、更級日記の竹芝寺伝説に因んだ
      港区芝附近の散策と共にその近辺の観梅吟行を計画しました。

  合評(披講)日     : 2009.03.10(火)  町田公民館和室2にて


都営浅草線泉岳寺駅→泉岳寺 亀塚公園
増上寺 愛宕神社 湯島天神
(一部岩田さんから写真提供頂きました)



<俳句の部>
俳句 写真 コメントその他
しろがね
銀 の

 うす陽に匂う

     芝の梅

     ―牧紀― 芝公園の梅は、その昔、「銀世界梅屋敷」の梅林から移植された旨の説明看板あり。

大石も

 冬木目覚めぬ

     く に
    日本憂ふ

    ―牧紀―
泉岳寺の正面に仁王立ち。

大石内蔵助の出現を待つ心侘びし。
獅子吼せる

 義士散り逝きて

     主税梅

     ―牧紀― 泉岳寺の扁額は「獅子吼」。
大石主税を偲ぶ梅も散り始め。

世界に獅子吼せる人物を待望。
天神の

 梅香染まるや

    絵馬の山

     ―牧紀― 湯島天神にて

今年の絵馬は、受験生の親の切実な景気回復の願いも籠められて、一段とうずたかく?
大平や

 目白飛び交い

   梅惜しむ

    ―牧紀― 湯島天神は祭り太鼓に誘われて、送梅の人込み。
迷子?も出るほど!!

これでいいのか? これもいいのだ!
しら梅の

 見頃となりし

     女坂

     ―学― 湯島天神にて

二人には、とっくに春が訪れていることでしょう。
東風吹くや

  反戦祈る

    平和の灯

    ―未来― 「あやまちは二度と繰り返しませぬ!」

この祈り、東風の彼方に消えぬよう!
春光に

 明治の風の

   吹く窓辺

    ―未来― 旧岩崎邸にて

ああ明治は遠くなりにけり!
遥かなる

 栄華を偲ぶ

    内裏雛

   ―未来― 同上

このお顔は、どこか現代風に感じられるのですがーーー?
雛の菓子

 添へ一服の

   茶に憩ふ

    ―未来― 同上

梅めぐりの程よい疲れも癒されて、ひと時、明治の風が流れていた。
春色や

 東京タワーに

     飛行雲

     ―淑子― 飛行雲の真新しさが春ですね。

写真も決まっています。
観梅や
 いにしえびと
 古 人に

  香を手向け

    ―小鈴― 泉岳寺四十七士の墓所。

墓には梅が似合う。でも、泉岳寺に梅は意外に少ない。
春冷えや

 陣太鼓売らる

    吟行会

    ―小鈴― 泉岳寺参道には、大石内蔵助の山鹿流の陣太鼓が売られている。
増上寺

 タワーと梅を

     墓守に

     ―小鈴― 将軍家の墓所に捧げる梅は少ない。
亀石に

 更科の文

   春の夢

   ―有三― 更級日記の竹芝寺伝説は、春の夜の夢の如く薄く淡くたなびき消えた。
梅が香や

 膨らむ願いに

    凛として

     ―有三― 湯島天神にて

絵馬に重なる思いが重いなあ。さすがの天神様にも荷が重い。
されど、梅は凛として咲きかつ散るのみ。
もののふの

 線香の香に

  さえかヘリ

    ―有三― 泉岳寺にて

討ち入り成就後の義士の充足感と空虚感の変転にも思いを馳せて。
如月の

 空に白梅

  タワー映え

    ―澄香― 写真の通り、絵葉書のような絶景。
白壁に

 紅梅うるわし

     泉岳寺

     ―澄香― 泉岳寺にて

ちょっと少な目の紅梅が合っています。
露地にあり

 盆栽冬日に

   ぬくもりを

     ―澄香― 三田近辺の路地にて

「露地にあり」がいいですね。


<短歌の部>

短歌 写真 コメントその他
東国の

 風の便り

  ばかりとや

 亀塚辺りに

  竹芝在りとは

     ―紀舟― 更科日記の竹芝寺伝説の地といわれる亀塚公園は、
訪ねて見れば、東風の香りのみ。「梅」の痕跡も見当たらない?
東照宮

 おさな遊びを

   見守りし

  将軍手植えの

  公孫樹なつかし

      ―芳翠―
芝の東照宮にて

公孫樹の”大樹”のもと、どんな遊びをしていたのかな?
何処より

 香り来るか

   沈丁花

 果たせぬ恋の

  春よみがえる

     ―芳翠―
亀塚公園にて

沈丁花のほの甘い香りは、初恋の頃に誘う。更科日記の作者の如く、源氏を想う夢多き青春時代を!
梅のもと

 揺泉院の

  墓に立ち

 夫唱婦随の

  永きを祈る

    ―紀舟― 泉岳寺にて

夫唱婦随が一番。

それは男の独断?希望?
古は

 銀の世界に
   たと
   譬ふとや

   面かげうつし

     芝の白梅

      ―紀舟―
江戸期の梅林は、はるかに白梅連なる白銀世界を現出していた由。芝の梅はこれに由来。


体制に

 叛きし義士に

   香を焚き

  大石親子に

     厚くして

    ―韶光― 赤穂義士の墓所にて。

死後も、墓の大小、線香の多少ーーー
まあ、しょうがないか?
亀塚の

 明らかならぬ

   その由来

  古代にかえり

  明かしてみたし

     ―澄香― 亀塚公園にて

作者のまだ若き冒険心、探究心に喝采。
店先に

 義士ゆかりの

    土産物

 売り手の主人

  笑顔やさしき

     ―澄香― 泉岳寺参道にて

土産物より売り手に目が行く。まだまだ若い。


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