観桜写真俳句短歌集2010

                                                         (2010.04.15 )

 今年は桜の開花時期にも寒い日が続き、桜には気の毒でしたが、お蔭で鑑賞期間が長く、意外な時に、意外な所で、桜を満喫出来たのではないでしょうか。
 SNM写真俳句短歌同好会では、SNM旅部会の「三つ池公園観桜ハイク」を中心に、今年の観桜特集を編集しました。

      三つ池や桜霞の丘めぐり
              桜しだれる池また巡る  (紀舟)

 多数の方に投稿頂き、俳句70句 短歌15首の多くを数えました。尚、この中には、「自由題」の一般投稿分も含まれていることをご了承頂き、以下ご笑覧頂ければ幸いです。

俳句の部

俳句 写真 コメントその他
睥睨す

 スカイツリーや

     花見船

        学 東京タワーを抜いて日本一高いスカイツリー。
 頃は、丁度、隅田川河畔の桜が満開。
花見船は、超人気で長蛇の列。
撮るほどに

  雪の溶けゆく

     朝かな

        学 春の淡雪と椿の淡い色が溶け合っていますね。
鴨の知る

  水の温める

    薬師池

       学 鴨の水脈(みお)に春の温もりが感じられます。
真青なる

  空を映して

    水温む

       学 鴨も気持ちよさそう。
花しだれ

 埋め尽くしをり

     松村邸

       牧紀 町田の有名な松村邸のしだれ桜。
黙々と

 また賑やかや

    花しだれ
       
       牧紀
同上。

感じたまま?
三つ池や

  春をたたへて

    鎮もれり
       
       牧紀 三つ池公園にて


丘に花満ち春を讃え、池に満々水を湛えーーー。
花びとの

  巡りめぐりて

    花しだれ
       
       牧紀 丘を巡っても、池を巡ってもこの枝垂桜に行き着き、これを一回りして写真を撮る人(花人)が多い。
散る先は

  水面の末か

     花の淵
       
       牧紀 いずれは散る定め。散りぎわを美しく!!
畑打って

  土いき生きと

     甦る
       
      未来 草萌える。
桜餅

   香と共に

   出番待つ
       
      未来 三月写真俳句短歌展SNM招待日の「芳翠庵」謹呈の菓子。
少年の

  語り尽くせぬ

   春日かな
       
      未来 一寸わからぬ二人の世界。
子らの声

  菜の花の黄に

   染めらるる
       
       未来 菜の花から、子らの楽しい声が伝わってきますね。
春の海

  雄々しき富士を

    押し戴く
       
      未来 完璧な「海に浮かぶ富士」ですね。
海棠の

  寺に歴史の

   憂いかな
       
      未来 寺は、益々繁盛しているのでは?
水鳥も

  群れて花見の

    客となる
       
       未来
三つ池公園にて




シニアも25人の花見客!
寒緋桜

  空に透かして

   愛でにけり
       
       未来 「空に透かして」とは、中々出てこない表現ですね。流石!
散り桜

  重なり合うて

     水の上
       
      未来 盛衰の理り。
花に酔い

  人 夫々の

   想いかな
       
      未来 前向きと後向きの人を配置した構図が絶妙ですね。
くもの糸

  落花からめて

    晴れ衣装
       
      芳翠
三つ池公園にて



くもも精一杯頑張っていますね。
ぜんまいの

  春のしるしの

   ひだの数
       
      芳翠 相変わらず、観察が鋭い。
見せばやな

  絵羽織競ふ

    春の鳩
       
      芳翠 なるほど四鳩四色の絵羽織ですね。
春寒や

  病犬の眼に

   愁ひ濃し
       
      芳翠 このところの春寒続きは、人間の眼にも愁うべき状況です。
何処へや

 瀬に身を寄せし

      花筏
       
      有三 抜群のカメラアングルですね。
写真俳句の妙です!
春霞

  タワーも遥か

     等伯展
       
      有三 東京スカイツリーを微かに望む演出がにくい!
春めくや

  薬師の里に

  きぶし咲き
       
      有三 わら屋根に春の陽射しやわらかく!
花万朶

  水面に影を

   落としけり
       
       くに 桜に包まれると、恩田川も清流に見えますね?
僅かなる

 土に根ざせし

     鼓草
       
      くに 一輪のタンポポは幸か不幸か?
打ち解けて

   内緒話か

   春うらら
       
      くに なるほど、春うらら!
利休忌や

   心静かに

   自服の茶
       
      淑如 「自服の茶」のたしなみが羨ましい。
桜降る
 はは
  亡母と歩合わせ

    尾根緑道
       
       淑如 楽しい時、悲しい時いつも亡き母と一緒ですね。
薄氷

 木の葉に下がる

     春浅し
       
       水白
今年は「冴返る」寒い日が繰り返しやってきましたね。

中々風流な情景です。是非写真を!
バス降りて

  川岸行くや

    花の雲
       
      忠裕 川に枝垂れる桜を連ねた道は、本当に花の雲に見えますね。
春耕の

 色あたらしや

    谷戸の畝
       
      忠裕 耕運機の音が響いてきます。
アールデコ

  にほへる館

    春日和
       
      忠裕 アールデコの香り?
桜でも

 散ってしまえば

     靴の下
       
       隆夫 桜の絨毯も歩けない?
いやはや!
まだ咲かぬ

  蕾もいつかは

    咲く桜
       
      隆夫 哲学者の独り言?
喜寿迎え

 心に沁みる

    八重椿
       
      隆夫 上の桜もこの椿も抜群ですね!
池面にも

  枝垂れ桜の

    色映し
       
       竜 暖かな春の陽射しが目に見えるようです。
天覆ふ

   無数の花に

   見惚れたり
       
        竜 見上げれば桜さくらの花曇りーーーですね。
枯れ野には

 みつばつつじの

    花燃える
       
        竜 この時季、葉のでていないミツバツツジのピンクの塊りは目立ちますね。
水温む

 集ふ鳥にも

   陽の恵み
       
      菜海 水鳥が気持ちよさそうですね
誘われて

 きぶしと出会う

     回り道
       
       菜海 キブシの群落を発見!
誘ってくれた人に感謝!!
老いてなほ

  匂ひ華やぐ

     糸桜
       
      玲子 老木の痛々しい幹と若々しい花の対比が良いですね。
いつく
 慈 しき

  古刹の

  枝垂れ桜かな
       
       玲子 さぞかし信仰厚き古刹でしょう。
花優し

 サッカー少年

    走りをり
       
       玲子 サッカー少年を、桜も優しく見つめていますね。
里山の

  花満開や

    野菜買ふ
       
      玲子 満開の花を見て、気分良く「野菜買ふ」
花筏

  影を映して

   ふうわりと
       
       花音
三つ池公園にて

昼下がりの春の一こま。
たゆたいて

 つとまどろみて

    花の午後
       
       花音 あまりの美しさに、花の世界にたゆたいてーーー。
それぞれの

  水輪描いて

     春の池
       
      花音 人の輪にも春が来てーーー
中々良いですね。
花の雲

 まなこ閉じても

    開いても
       
       花音 満開の花を全身で愛でる。
花びらを

  浮かべ網代の

     水模様
       
      花音 花びらと小波の交響曲。
花影を

  映して水面の

     輝けり
       
       小鈴
三つ池公園にて

水面の桜色の輝き!良いですね。
行く先は

  風に任せて

     桜散る
       
       小鈴 潔い覚悟。良いですね。
戯れて

  光と遊ぶ

    鯉の群れ
       
       小鈴 群れ遊ぶ鯉に光と影!
首伸ばし

  甲羅干しつつ

    花見かな
       
       小鈴 一列に並んでいるのがいいですね。
花筏

  鯉戯れて

    光揺れ
       
      小鈴 花筏の下は、鯉の寝床?
孤高なる

  桜棚田と

   共に生き
       
      小鈴 棚田の大桜ですね。

「共に在り」の方が、大きな存在感?
提灯で

  祝ふ団地の

    花まつり
       
      小鈴 夜桜の提灯の下で一杯。
群れ遊ぶ

オタマジャクシや

     平和なり
       
        小鈴 今は平和そのもの。でも、この群れ全部が蛙になれるのでしょうか?
石楠花や

  寺を飾りて

    名を翔る
       
      小鈴 石楠花の深紅。見事ですね。
待ち侘びて

 大きく背伸びす

      鐙草
       
       小鈴 この元気が羨ましい。
今年また

 そぞろ歩きや

    花に酔ふ
       
       仁昭 花に酔い、人に酔いそして酒に酔いーーー。
花びらや

  川面に和して

     二人舟
       
       仁昭 「ーー川面に和し、和す二人ーー」の意。
オール漕ぎ

  川面に集う
   
    花見頃
       
      仁昭 水しぶき 桜しぶきの 花見舟
濠の先

  皇居に凛と
   
   花咲けり
       
      仁昭 千鳥が淵公園から一本高速道路を南に越えると、浮かれた気持ちが急に引き締まるようです。
吟行会

  詠み手の声か

    花の下
       
      仁昭 花の下の吟行会、愉しくもあり、楽しくもなし?
山に谷

  花をもとめて

   カメラの眼
         
       仁昭
八王子森林公園にて

カメラ スポットに群がるカメラの眼。。
咲き誇る

  我が名冠せし

   さのざくら
       
       仁昭 「佐野」の名に因みて。私のように咲き誇っている?
青空に

  うす紅たむけ

     花の園
       
       仁昭 青空にさくらは似合う。


<短歌の部>

短歌 写真 コメントその他
三つ池の
 ほとり
  畔に競う

   桜花

  春爛漫の   
 
   如月の朝
       
      筑山
三つ池公園にて


良い天気、良い桜でしたね
恩田川
   
 桜ふぶきに
   いざな
   誘われ
 
  水面に躍る

    錦鯉かな
       
       筑山 錦鯉も我が世の春!!
春うらら

  川面に浮かぶ

     花筏
   
 寄り添う鴨の
    ねぐら
   塒 とならむ
       
       筑山 花は満開を過ぎ散り始め。花筏と二羽の鴨、いいですね。
枝ごとの
  あか
  紅きつぼみを

   見守りて
   とき
 時季を待ち侘ぶ

    恩田の流れ
       
       筑山 恩田川桜蕾みの膨らみて
水温む頃河畔歩きて
梅散りて

  桜待つ間の

  土佐みずき

 人目忍びて

 楚々としてあり
       
      筑山 楚々として下を向いて咲く?
マスクした

  瞳美し

 歯科女医の

  若き声から

   魅力膨らむ
       
       水白 いくつになっても男は!
ーーでも、わかるわかる。
雲と見む

  しだれ桜に

  覆われて

 しばし瞑想

   花の世界に
       
       紀舟
松村邸の枝垂桜。


暫し花の世界に取り込まれ、我を忘るーーー。
さくら子の

   振袖姿か

  しだれ帯

   風雪耐えて

   今年もさくら
       
       紀舟 花守りの歌!
伸びやかに

  枝垂れる小花

   相和して

  拡がる大樹

    人の世界も
       
       紀舟 三つ池公園にて



新旧、大小、地方と中央ーーーすべて調和の世界
池に沿ふ
    こぞ
   桜は去年と

  変わらねど

 心に映る

    花ぞ異なる
       
       芳翠
三つ池公園にて



「美は心の中に在り」?
中々、意味深長ですね。
三つ池の

   落花に心

 ありと見む

  流水に浮く

   双亀動かず
       
       芳翠 落花の心、双亀の心ーーーー揺るぎない信頼?
青空を
 つくばい
  蹲 の渦に

  呑み込んで

  旧宮邸の

   茶室の静寂
       
      芳翠 なるほど、写真と短歌が合っていますね。
遠来の

  友を迎えし

  ハマ通り

 蒼穹に映ゆ

  ニシキモクレン
       
       芳翠 白亜のビルにも映えるかな?
老ひてなお

   頭角光る

  ねぎ坊主

 植え替へを待つ

     温き畑に
       
       芳翠 老いたから光る頭 ? ーー失礼。
ゆったりと

   水に浮き草

    湧水の

 富士の恵みや

    柿田の流れ
       
       澄香 柿田川の清流に小舟も似合いますね。


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