観桜写真俳句短歌集2011

                                                         (2011.05.10)

  今年は、冬の寒さが厳しく、桜の開花の時期にも寒い日が続いたため満開は4月中旬となりました。
3月11日の東北地方を襲った大地震、大津波の被害が大きく、花見は自粛の世相の中、同好会では4月9日(土)に近場の「恩田川散策桜吟行会」を催しました。生憎の涙雨で参加者は7名でしたが、この吟行会を始めそれぞれの観桜の句歌を募り、多数の方に投稿頂きました。

 
 恩田川桜堤をしっとりと
         
7人和して花の吟行     紀舟

 尚、当初予定の4月12日の例会は中止し、5月例会にて「観桜」を取り上げましたので、自由題を含め季節感に若干、違和感があるやもしれませんがご容赦下さい。

俳句の部

俳句 写真 コメントその他
花満つる

 自然微笑む

    恩田川
        
       牧紀 東北地方は、自然の気紛れか大地震大津波。恩田川の桜は例年通り満開。自然に感謝。
純白の

   桜も潤む

   なみだ雨
       
      牧紀 折からの小雨で、桜の花々は災害を悼むようになみだ雨に濡れていた。
花筏

  浮きつ流れつ

    沈みつつ
        
       牧紀 浮上も流浪も消沈も人生。
白鷺の

 独り舞台や 

     花吹雪

      牧紀 一人(一羽)雨にも負けず風にも負けず堂々と歩いていた。
彼岸まで

  持ってゆきたし

       桜花
       
       牧紀 両岸(此岸、彼岸)に桜。でも、彼岸には、蓮華はあっても桜はないかも?

 (西行の桜への想い?)
我が生を

  重ねて想ふ

    桜かな

     未来 わが人生は桜と共に歩む
命果つ

まで燃え尽きよ

     春夕日
       
      未来 命果てまた命ある春の巡りを期待
同じ向き

  して堅香子の

   丘に咲く
       
      未来 同じ方向は季節風の向きによるのかな?
白き炎

  燃ゆるごと咲く

     白牡丹
       
       未来 白集め白き炎の白牡丹。何ともきれいですね。
丘陵を

 見下ろす八重の

     桜かな
       
       未来 八重桜も落ち着きますね。
春なのに

  倒れぬ芒

   哀れなり
       
      隆夫 夏過ぎてなお倒れぬらし芒かな
お汁粉を

  食べ損なって

   梅見かな
       
      隆夫 梅見つつ汁粉食べたし春の夢
名を知らぬ

  切花活けし

    春の宵
       
      隆夫 ストックの名も知られずに春の宵
キンクロの

  羽ばたく音も

     水の春
       
        学 「水の春」が良いですね!
気にかかる

  友の無音や

   辛夷咲く
       
       学 辛夷咲く北国を思い、友の恙無きを祈る。
花の雨

  降りみ降らずみ

      恩田川
    
        学 みちのくの花の雨を思いつつ
父母の亡き

  故郷に在り

    蛙鳴く
       
       学 故郷の千枚田で蛙の声を聞きて
春怒涛

   故郷は今

    風の中
       
       学 これは、俳句も写真も最高ですね!!
春告げる

  おんぶ蛙よ

  こんにちは
       
      和子  陶器色が冴えてます。
まだ浅き

  春の兆しの

  つぼみかな
       
      和子 咲く花も必ず蕾の時がある。納得。
蒼天に

  淡く華やぐ

   さくら花
       
      和子 天の蒼地の桜色のコントラスト。
百のひれ

 百の未来へ

   子供の日
       
     きいろ 百のひれ百の未来を百の友に!
花ミズキ

  竹久夢二に

   逢へそうな
       
      きいろ 夢二来て何やらゆかし花水木?
いにしへの

 歌思い出す

   花模様
       
     有三 いにしへの心模様、花模様の歌はどんな歌でしょうか?
身はいずこ

  叶わぬ人と

  観るさくら
       
      有三 色々想像が拡がり、コメント叶いません。
歳歳や

   桜古木の

   花見上ぐ
       
      玲子 歳重ねた桜古木に力在り
春の日の

  さよならはまた

    会ふ言葉
       
       玲子 俳句と写真が、「つかずはなれず」ぴったりですね!
片隅を

 しずかに灯す

  おほでまり
        
      玲子 おほでまり三人静の日を灯す
子供の日

  孫も居ぬのに

    そと祝ふ
       
       菜海 堂々とこい(鯉、恋、故意?)にのぼりて男の子
母の日の

  集ふ誘いに

    花飾る
 
      菜海 カーネーションの花花花花!
すかんぽや

  友と語りし

    通学路
       
      くに 戦後の混乱期は、シニアーの主食とか?
枝垂れ咲く

  花の命の

   煌めきて
       
      くに また咲けり花の命の輪廻かな
今年も、松村邸の桜有難うございました。
花筏

 乗りてたゆとう

    真鴨かな
       
       小鈴 極楽にたゆとう真鴨ですね!
菰を着て

  牡丹出番を

   待ちしかな
       
       小鈴 菰ぬくし寒堪え牡丹出番かな!
花讃ふ

 思ひさまざま

   絵の中に
       
      小鈴 絵の中に人あり花在り思ひあり
地ゆれて

  眠れぬ夜の

    寒さかな
       
      小鈴 これぞ震災の句!
ふる里の

 花は負けじと

   咲き始む
        
      小鈴 みちのくの花の便りは今頃ですね。
幼子の

 父母恋う文を

    届け給ふ
       
      小鈴 「ハガキの木」に寄せて。
地悶へ

 花かず程の

   涙落ち
       
     小鈴 花かず程の多数の被災の皆様にあらためてお見舞い申し上げます。
遠山の

 桜は若葉に

 埋もれつつ
       
    ゆきお 若葉波が綺麗ですね!
この春も

 もろもろ載せて

    花いかだ
     
      ゆきお 花筏もうこれ以上は乗せないで!
川沿いの

  桜の末は

  おぼろなり
       
     ゆきお 恩田川今年の桜はおぼろ、おぼろ
御衣黄は

  深みどり色

    隠れ咲く
       
        竜 御衣黄はいい色いい香いい姿
紫木蓮

 空いっぱいの

    恩田川
       
       竜 紫木蓮バンザイ。
爽やかに

 薄むらさきに

    山躑躅
       
       竜 躑躅の薄紫が何とも言えずいい色ですね。


<短歌の部>

短歌 写真 コメントその他
戦国は

  瀬音高き

   恩田川

  鳴瀬城址に
    
   春巡り来る
       
       紀舟 築城時は、名にし負う水量豊かな恩田川(鳴瀬川)?
両岸の
   
 桜結ぶ
   
  橋在りて   
 
   西行が花
 
   想い知らるる  
       
       紀舟 西行の「ーー桜の下で春死なむ」は此岸の桜と共に、彼岸へ渡りたいという願望?
瀬を流る

  淵に留まる

    花筏
   
 いずれは土に

 帰するのみかは
       
       紀舟 流れる(流される)も留まる(留められる)も紙一重か !!
同じ部屋

  同じ相手と

   囲む卓

 地震味方に

  一日居酒屋
       
     きいろ 同じ人同じ卓でも居酒屋に!
新学期

  のっぽとちびの

  チューリップ

 おひさま浴びて

  春をよろこぶ
       
       和子 日を浴びてのっぽもちびも新学期優しい眼差しですね。
雲雀舞ふ

   農道ゆけば

  横たはる

  臥龍の如き

  大モール見ゆ
       
       筑山 以下5首、筑山さんからの近況(近境、近郷?)の歌です。
皆様に宜しくとのこと。

近くに「モラージュ菖蒲」という全長500mに及ぶショッピングモールがある由。大都会だね!?
おほなゐの

  爪あと未だ

  癒えなくに

 大空泳ぐ

   鮮やかな鯉
       
      筑山 鮮やかな鯉のぼりと爪あとのブルーシートの対比。


「おほなゐ」は大地震の古語。
桜花
 こぞ
   去年の景色に

  変はらねど
 
 心はなぜに

   曇るものかは 
      
       筑山 未だ心の中に、大震災を引きずっています。
たそかれの

  しじま切り裂く

  メロディは

 昔懐かし

「ふるさと」の歌
       
       筑山 夕方になると町内に故郷の歌が流れる由。
我が宿に

  今を盛りと

  咲く花は

 訪ぬる人を

 今日も待ちわぶ
       
      筑山 残念ながらデイサービスの利用者がまだ少ない由。
なぐさめも

  祈りも詠めず

   胸ふさぐ

 春逝きにけり

  心あらぬ間に
       
       花音 胸の深い悲しみは分かります。

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