秋川の流れやさしく水澄みてさざめく光り胸にしみいる |
芳翠 |
詩に捧ぐ魂やすらげ秋の薔薇 |
有三 |
水面から秋の深さの声を聞く |
隆夫 |
旅に出て朝顔空を掴みけり |
玲子 |
一筋や善男善女の暑き道 |
ゆきお |
砲台の跡に川鵜の遊ぶかな |
未来 |
富士山頂太陽神の煌けり至福の時や湖畔に宿る |
紀舟 |
明々と駅舎灯りて去年今年 |
玲子 |
越後路や錦まとうも日はわずか |
ゆきお |
がにやらに友を求めて飛ぶ蛍蛙歌いて更に励まし |
韶光 |
錦秋の渓谷下るゴンドラや紅葉の海に我も飛翔す |
紀舟 |
葉陰より静に咲けり御衣香は |
竜 |
春風に川面に伸びし枝先の散りて流るる花のいかだに |
澄香 |
元朝の波寄せくれば海鳥の低き声して半島明けぬ |
花音 |
うつろひの人の心ぞかなしけれ花にうずもる慈悲の微笑み |
和子 |
つらき世も蓮のつぼみのあしたかな |
竜 |
鴇色に空染めてゆく初明かり |
くに |
初夢や富士の白嶺の動かざり |
牧紀 |
茶の会の果てて日傘の人となる |
学 |
羊草目覚める刻の山の池 |
未来 |
束の間の秋の豊潤宙に在り |
有三 |
本堂は静寂なりぬ紅葉狩り |
玲子 |
蛍狩り過ぎ来し方の浮かぶ闇 |
くに |
来し方を夢の彼方に葬れどなほ耳底に山ほととぎす |
芳翠 |
奉納の太極拳を舞い終えて参道下る元日の朝 |
芳翠 |
福豆を巣立ちし子らの部屋も撒く |
淑如 |
能登の海沈む夕日を眺め居て過ぎ来し方に思ひを馳せる |
くに |
冬紅葉ベンチに憩う二人かな |
学 |
咲き満ちてあぢさゐ道をせばめけり |
学 |
見る人の心映して澄むという鏡が池の今日はさざなみ |
芳翠 |
人とらず熟柿は蟻にくわれけり |
学 |
日当たりにのんびり熟す柿三つ |
隆夫 |
霊峰のミネラル豊かに柿田川三島梅花藻育くみ流る |
芳翠 |
亀石に更科の文春の夢 |
有三 |
かんざしの如き梅花をいつくしみ |
藤志乃 |
境内にひともと早咲き梅ありてまなこ張るごと蕊伸ばし居り |
芳翠 |
白梅は満開なれど詫びしかり鶯めじろ蜂さえも見ず |
韶光 |
梅ゆれて香りゆらぎてそぞろ坂 |
牧紀 |
烏瓜宵咲く花の白糸の乱れそめにし我が夏もゆく |
紀舟 |
春怒涛故郷は今風の中 |
学 |
心もて寄り添ふ桔梗花開く |
有三 |
雨上がり湖畔に夏の拡がれり |
未来 |
緑陰の苔むす庵に住まいする昔の人の面影あわれ |
和子 |
ままごとの化粧の友の面影も薄らぎゆきて古希の夏来ぬ |
芳翠 |
秋桜の囁き合って風に咲く |
未来 |
ひんがしに眼据え置き身構えつ旭日の勢満身に受く |
芳翠 |
初日受け北に飛び立つ機に託す海越え届け孫への賀状 |
芳翠 |
満作や己がしがらみ解きつ咲く |
未来 |
初夢に出でまほしけれ松に富士 |
牧紀 |
白雲の影戯るや松の富士 |
牧紀 |
青空に紅白映えて夫婦花秋明菊の寄り添い咲けり |
澄香 |
濃き薄き里山緑の綾の中 |
牧紀 |
身はいずこ叶わぬ人と観るさくら |
有三 |
見納めと決めし絶景山粧ふ |
未来 |
春送る憂さもてあまし道端の花に好きよと呟いてみる |
芳翠 |
円錐のメタセコイアの影池に三羽の鴨の軌跡呼応す |
芳翠 |
水面から秋の深さの声を聞く |
隆夫 |
思いのままならぬが常のこの浮き世紅白咲き分け生きるぞ美し |
芳翠 |
立ち上がるなでしこの花愛でにけり |
玲子 |
紫陽花に心変わりを見つめられ |
有三 |
菜の花に向き合う富士の機嫌よし |
未来 |
夏蝶の憩うオアシス我も欲し |
美穂子 |
新春の光りと陰り池に在り |
牧紀 |
虹囲ふ堅き絆やとなり組 |
小鈴 |
薬師池残りの萩に降る雨のまだ温かし散るな急ぎそ |
紀舟 |
春の日に心酔わせし桜樹を見る人もなく秋ぞ吹けゆく |
筑山 |
落ち葉踏む音遠ざかる日和かな |
学 |
朝明けに霧まだ重し尾瀬ヶ原 |
牧紀 |
風に耐え波に打たれし老木の強き姿に励まされたり |
小鈴 |
夕暮れて酒場の誘い秋涼し |
吉夫 |
一葉づつ桜紅葉の散りゆきぬ |
玲子 |
伝統の三社祭に集まりし人人人のそれぞれの想い |
筑山 |
渓谷に橋脚なくも猿橋の匠のはね木心うたれて |
翁翠 |
さざ波の眩しさに酔う花菖蒲 |
未来 |
石庭の皐月に心癒さるる |
未来 |
双葉より芳しかれと名づけしか栴檀香り父母しのぶ朝 |
芳翠 |
梅が枝のもとを流るるせせらぎは待ちに待ちたる春を知るらむ |
筑山 |
いにしへに銀の世界にたとふとや面かげうつし芝の白梅 |
紀舟 |
伸びやかに枝垂れる小花合い和して拡がる大樹人の世界も |
紀舟 |
不忍の池の桜を愛でつつも思い浮かぶは浅草の華 |
筑山 |
新涼や空澄み風の消ゆるほど |
牧紀 |
潮の香に初富士凛と匂い立つ |
未来 |
去年も来しこの紅葉を眺むれば踏む落ち葉さえ語りかけ来る |
ゆきお |
人学び人送り出す桜かな |
未来 |
玉学や明治昭和の教材の多きに我の時代想いて |
韶光 |
過ぎし日の手紙懐かし里の春 |
隆夫 |
照り映えし林を行けば紅色の光あふれてこころ華やぐ |
花音 |
栂池や濃霧と雨に襲われて視界を無くし暫し佇む |
韶光 |
新緑の膨れる森に復興の若き力の漲るを見む |
紀舟 |
石蕗咲くと妻の声ある朝の庭 |
学 |
枝垂れ揺れ囁きかける一輪の色香やさしき宏善寺が梅 |
芳翠 |
白梅にささやく鳥のせわしなさ |
未来 |
友集い香焚きしめむ梅すだれ |
牧紀 |
藁の香の匂ふ棚田やバッタ飛ぶ |
学 |
新緑を艪の音に載せ渡し舟 |
未来 |
散水の吾をめがけて襲来す憎きやぶ蚊を思い切りはたく |
和子 |
屋形船十五の瞳梅雨に映えもんじゃ焼きつつカメラ構えつ |
紀舟 |
水音に耳傾けて紅の山あじさいは楚々と咲き居り |
芳翠 |
誰そ彼の茜に浮かぶ山際に新たな年の願ひを込める |
筑山 |
谷川の清き流れに臨みつつ神の降ります夢の架け橋 |
筑山 |
風やさし細く柳の揺らぎおり |
未来 |
禅堂にそこはかとなき春かおり |
有三 |