H24年観桜写真俳句短歌特集
(玉川学園他)


              玉川学園観桜吟行

   日時 :  H24年4月13日(金)

   参加者 : 15名(内1名途中参加)

   内容:   玉川学園教育博物館見学を兼ねて、学園内 観桜散策


         学園の桜に集うシニアの
                    思い思いの春の(とき)ときかな  (紀舟)
     

       この吟行会を中心に、「自由題」を含み、その他観桜特集として纏めました。

<俳句の部>

俳句 写真 コメントその他
学園の

  櫻も吾も

   老ひにけり

         学 作者にとって学園の桜は、吾友、吾同志。
老いて尚、春の花、夏の緑葉、秋の紅葉、冬木立は健在。
キャンパスは

   坂の多かり

     花の中

        学 坂の多いことに気付かされる桜逍遥。
若い人たちが羨ましい?
見上ぐれば

 スカイツリーは

     花の中

        学 絶景ポイントですね!スカイツリーは日本の華。
麗らかや

  鴎飛び交ふ

    隅田川

        学 春の麗の隅田川ーー。鴎飛び交い、水上ボート。土手は桜の花盛り。言うことなし。
散り残る

 花いとほしき

     御苑かな

         学 作者の優しい眼差しが句にも写真にも偲ばれますね。
各停も

 春の終りに

   花散らす

       鶏肋 特急は一気に、各停はちらほらゆっくり花を散らす。
夕暮れに

  奏でる楽譜

    梅つぼみ

       鶏肋 風景が見事に切り取られています。流石プロカメラマン!
見下すや

 舞台の裾の

    春深し

      ゆきお 京都清水寺の舞台から、見下ろすと桜も満開を過ぎ、欄干の影も濃くなり愈々春深まる。
悩ましや

 花の宴を

   覗き見る

      ゆきお 無邪気な子供心に還って見るのも一興!
花びらを

 道づれにして

    闇に入る

      ゆきお これは意味深!色々に深読みできますね。
道連れは誰?恋の闇は深く長い?でも何時か必ずトンネルは抜ける。
老境の

   桜逍遥

    ゆるゆると

        牧紀 老境の幹、老境の花、ーー我ら皆ゆるゆると活きよう!
咲ききりて

   地にも花の

    こぼれをり

        牧紀 やはり老境、老練、辺りを見る余裕ーーー?われらも見習わなくっちゃ!
玉川の

 丘越え谷坂

     花巡る

        牧紀 学園の山、谷、坂を縫うように櫻がちりばめられている。
花びらや

 池の浮世に

    旅立ちぬ

       牧紀 花びらの第2の花生(?)を見守りつつーーー。

 池に散る 花びら新たな 生をうく
 
真白なる

 花も蕾みの

    紅ほのか

       牧紀 薄紅の蕾が開くと真っ白になることに驚き!

虚子さんの句:白牡丹とうふといへども紅ほのか
を微かに念頭に!
人学び

 人送り出す

    桜かな

      未来 成る程。学び舎の桜は、卒業式頃に芽吹き、入学式頃に満開となる。
佇みて

 桜の名所

   ここ一番

      未来 句の通り、ここに佇み、桜と空とタワーを愉しみましょう!
花に酔ひ

 時流れゆく

    隅田川

      未来 隅田川の花の時は、桜花と花火。
一度舟に乗って川からの風景を見てみたいもの。
紅枝垂れ

 桜と共に

   ゐる一日

      未来 以下の句とも昭和記念公園にて。

何とも立派な枝垂桜ですね。桜の下で春の一日。
至福のとき。
何処までも

 皐月の風の

   抜ける道

      未来 花をゆすり、木々を抜けていく優しい皐月の風が見えるようですね。
老木の

 示せし威厳

    桜咲く

      いけ 老木の威厳。まだまだ若い者には負けないぞ!
やまぶきの

 咲き乱れてや

    鉄路沿い

       いけ やや早咲きの山吹が、黄金色に輝いていましたね。
お堀端

 世界に誇る

    桜咲く

      いけ 有名な千鳥が淵の桜。
満開の桜、満開の人出の中、良く撮れましたね。
外人さんも多数見かけられた由、正に国際級の桜。
キャンパスの

 カフェテラスや

     落花舞ふ

       玲子 何時か、誰かとカフェテラスで、桜を見ながらーーー。そんな時もあったっけ?
夢の字の

  一画多しや

   さくら咲く

       玲子 教育博物館に玉川学園創立者小原国芳先生の「夢」の字の「タ」の点の部分が二つになっている一画多い直筆書がありました。
他人よりひとつでも多く大きな夢を持ってほしいと言う先生の願いが込められているそうです。
素敵な学び舎には、大きな夢を抱いた子供たちが育まれているいるのだと思いつつーーー。
紅少し

  染めて真白き

     桜かな

       玲子 本当に真っ白な桜でしたね。「しろたえ?」
キャンパスに

    幾筋の道

    花満ちる

       玲子 キャンパスのあちらこちらに一杯の桜。
人ありてこそ桜を愛ず。
花万朶

  小田急線の

    通りすぐ

       玲子 小田急線に枝垂れかかる満開の桜。
暮れなずむ

  花散るかげに

    六地蔵

      遊歩 夕暮れ。六地蔵の前に祈りのとき。折りしもどこからか花びらが舞い散るーーー。
恋ひ猫の

  相手もなしや

    昼寝する

       遊歩 ふてぶてしい猫。
恋ひ猫の開き直りか寝たふりか?
学び舎に

    威風堂々

     大桜

      小鈴 当日見て回った桜の中で一番の大桜。貫禄の桜。
悩み多き

  年くぐり抜け

     入学す

       小鈴 昨年度は、想定外の(?)未曾有の、大事故に国民等しく悩み、解決の糸口も定かならない一年でしたが、新年度に集う若人に期待をこめてーー。
花迎へ

  一期の宴の

    野点かな

       小鈴 花を迎え、花に迎えられ、一期の野点。
足るを知る満たされた空間。
御衣黄や

  心に秘めし

   思ひあり

      小鈴 名にしおう上品な桜。最近の下品な振る舞いの横行する中、見習ってほしいものです。
花の蝶

  街に飛び交ふ

   ハナミズキ

       小鈴 紅白の花か蝶かハナミズキ。街は春に包まれる。
学び舎に

  初音を競ふ

     百千鳥

      有三 あっ!あれは何鳥?ウグイスだよ。へー!若鳥の発声練習?あっ!親鳥の「ホーホケッキョ」も聞こえてきた。
耳を澄ませてごらん!色々な鳥の初音が聞こえるよ。
散る花を

  恋ふる心に

   身を委ね

      有三 花は咲き、花は散る。自然の摂理に身をまかせ、川の流れに身をまかす。
花万朶

 水面にのばす

     枝の揺れ

       くに 水面すれすれまで延びた桜の細枝の先まで、花が一杯。重たげにゆっくり揺れる。
庭先の

  牡丹崩して

    雨上がる

       くに 咲き衰えた牡丹を最後に崩したのは昨夜の雨。今朝は知らぬ顔で雨上がる。

能村登四郎さんの以下の有名な句を想う。

 散りしぶる 牡丹にすこし 手を貸しぬ
いさぎよき

  石楠花の白

     母の襟

       希由 亡母手植えの白石楠花が、今年も綺麗に咲く。
きれいだった亡母のシンボルカラーは白!
なかんずく、いつもの和服の白い襟!!
遅咲きの

 たくましきかな

      八重桜

       希由 たくましき八重桜にわが身を重ね!
さあ、春から夏へ。
さへずりや

  雨をはらひて

    木立萌ゆ

       希由 一瞬の囀りに庭を見る。小鳥の飛び立った後か、若葉が揺れ雨粒がはらり。
ああもう初夏の緑が萌えている!
焦がれても

  思い残さず

    散る桜

        淑如 こい焦がれて咲いた花も時が過ぎれば潔く散る。緑葉のためにーー。
木陰に立ち、物思いにふけっていると、亡き友の影もーーー。
風五月

  静かに開く

   シャガの花

       淑如 前句と合わせて詠むと、シャガ(漢名胡蝶花)は亡き友への献花にも見える。
ただ風の中、静かに無言でーー。
山郷に

  祖母のしるしが

    永久の花

       仁昭 立派な桜ですね。
民権の

   戦いし跡

    ボタン園

       仁昭 牡丹園の先に民権運動の戦士の墓が?


<短歌の部>

短歌 写真 コメントその他
学園の
 桜に集ふ
  シニアの

  思い思いの
     とき
   春の季 かな

       紀舟 シニアの思い思いの櫻逍遥。花良し、季良し、言うことなし。
満面の
 笑みで迎へし
    此の花に

「ありがとう」と
         皆集い撮る

        紀舟 やや満開を過ぎていたが、此の一本の櫻だけは、活き活きと咲いていた。
まるで「此の花咲くや姫」の如し。心から「ありがとう」
教育の
 原点伝ふ
   博物館

 花咲く丘に
   燦然とあり
   
        紀舟 教育の原点とは?世界に通ずる日本の教育の原点は寺子屋及び藩校。
取分け初等教育の重要性を再認識させられました
学び舎の
 馬場の桜は
   八重桜

  櫻の馬場の
   うた
  校歌 口ずさむ 
   
        紀舟 私事ですが、わが小学校歌の歌詞は
「櫻の馬場に生い立ちてーーー」

もと藩の馬場があり櫻並木があった土地柄に因るらしい。学園の馬場の桜を見て、懐かしく思い出されました。
学園の
 真ん中走る
  小田急に

 いよいよ花の
 降りかかるらむ
   
        紀舟 満開を過ぎ、愈々桜吹雪が列車に舞い散る情景が眼に浮かぶよう!
学園の
 谷の櫻は
  真白にぞ

   両翼広げ
    鳳凰の舞
   
        紀舟 教育博物館の裏手から一叢の満開の桜が遠望された。まるで、鳳凰の舞!
荒波に
 怖さあふれた
    夢の中

  逃げて行くなと
     心で吼えた
  
         鶏肋 多摩川宿河原堰辺りにて。

上流に向かって、逆巻く波。俺も生きたや仁吉のようにーーー。
不忍の
 池の桜を
  愛でつつも

 想い浮かぶは 
    浅草の華
  
        筑山 浅草の華:

「隅田川の桜」かそれとも「神谷バー、仲見世、六区あたりの華ある浅草の名所」か
人々の
 まなこ集めつ
    咲く花は

 立ち居振る舞い 
   雅なりけり
  
        筑山 桜の雅が、青空に映えて。
静やかに
 小川をおほふ
     桜花

 華はなけれど
    美しきかな
  
        筑山 上歌は華の花。これは燻し銀の花か。
何れも劣らず美しきかな!
ケータイが
 咽び泣かせる
       ひと
    若き女性

  我が心にも 
    悲しみ届く
  
         水白 携帯電話の即時性。喜びも悲しみも地球規模で即伝わる。
作者は暖かい目で、若き女性を見つめている。
母の日や
 幾年過ぎて
   墓参り

  墓前に祈り 
    我が歳数ふ
  
        水青 幾ら歳を重ねても母は母。何時か母の歳を越えてーーー。今年もお盆には墓参りに帰ろう。
声高の
 祝祭後に
  花冷えて

  言葉は軽く
   空に散りたり
 
        名無子 「日本一」といってもつかの間の喧騒。祝祭は後の空疎を用意する。
同窓会
 企画したのね
   あなたらし
 
  桜花まといて
   艶めく旅へ
 
       名無子 日本にフェミニストあり、とおしゃれな姿で登場しました。ありがとう。
縁ありて
 釧路発送
 「棺一基」

 可能求めて 
    鉄線恋歌
  
       名無子 「棺一基」は大道寺将司の句集。NHK ETV特集で、辺見庸が出版に努力したことの紹介あり


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