2020年6月 写真俳句短歌集


開催日時:  2020.6.09(火)  テレワーク例会

兼題:      「衣替え又は自由」
概要:
    コロナ感染症緊急事態宣言は解除されたとは言え、危険な状態
   は予断を許さず、安全第一で、5月に続きテレワーク例会としました。

   当月は「衣替え又は自由」題で作品を募集し、加え、事前にお知らせ
   した課題写真「初夏の仙石原」に関する作品を併せて募集し、
   インターネットとメールによるテレワークにて披講に供し、まとめた後、
   その記録は同好会HP「例会の記録」欄に、又、作品集は従来通り
   「兼題例会コーナー」にアップしました。

更衣/衣替え/衣更えの表記について問題提起:

 「衣替え」を二句使ってます。写真に「更衣」がそぐわない気がした(雅さがない)
 ので「衣替え」にしたのですが、文字としての「衣替え」は季語にならないのでは
 と、にわかに不安です。如何でしょうか(ゆきお)

  季語集には更衣しか出てませんが、PCで転換すると衣更えとでます。
  どこが違うんでしょうか・更衣は俳句の中の決まりでしょうか?
  衣替えは耳で聞いた時には同じでもやはり俳句の時には更衣えを使った
  ほうがいいのかもしれませんが、・・・よく分かりません。
  ただ季語は変わつていくようですし・・・・(淑如)
  「季語」の役割は、季節感の共有にあります。俳句の時は「更衣」が一般的と思い
  ますが、私論としては、更衣・衣替え・ころもがえいずれでも良いかと思います。
  俳句は文語体が基本ですが、口語体も許容されているのと同じように考えたらー
  と思いますがーーー。 (牧紀)


写真俳句短歌



<第一部>



更衣 神社の立木 仰ぎたり     玲子
 うす着で散策に行きました。

   神社も緑に染まり夏に衣替えですね。(未来)


往く道の 額紫陽花の 染めしかな   玲子
 散策の折に目に止まりました。


引き抜くも どくだみ咲くや 風物詩    玲子
 いくら丁寧に抜いても毎年蔓延いてしまいます。


藪手毬 ころころ響く 川音かな     玲子
 下に小川が流れていました。


松の芯 夫の忌修す 世事憂ふ     玲子
 コロナの影響で家族のみで墓前で一周忌をいたしました


下町に 若者集ふ 衣替え        隆夫
枯れ木も山の賑わいと言います。ひねり 絞りやっと出来ました。

    こんな自由な下町風景が早く見たいですね!(牧紀)


道沿ひに ホコリ被りし 花水木     隆夫
 花水木は清楚な花ですが、何故かくすんだ感じがしました。
 写真では表現できませんでした。


梅雨の間に 夕日が沈む 窓の外     隆夫
 窓の外に夕陽・・合成写真です。

  夕方の少し寂しい心がにじみ出ているように思いました。(未来)


花びらの 今朝もひとひら 更衣     未来
 花弁が開きながら色を変える様。

  中々いいですね。尚、「今朝もひとひら」ではどうでしょうか?(牧紀)
  推敲有難う御座いました。「今朝もひとひら」に訂正します。
  見えない物が見えてきた感じです。(未来)
  ひとひらがいいですね。(有三)


月見草 真白に生きて 果てるかな     未来
 偶然満月の夜に咲きました。一夜花です。

     真白に生き 果てる 良いですね。(有三)
     素敵な句だと思います。幻想的で写真も素晴らしい。
     本当に良く撮れましれましたね。(淑如)


青梅落つ 天満宮の 小石踏む      未来
 遠出が出来ずお願いごとばかり。


傷負いし 夏蝶に在る 誇りかな      未来
 翅の破れた蝶は、却って逞しく見えました


蝸牛 葉裏から見ゆ 曇り空       未来
 蝸牛の雨を待つ気持ち。

    蝸牛の気持ち、写真からも句からもよく伝わってきました。
    久しぶりに蝸牛を見ました。 (和子)  


バスの中 樟脳の香や 衣更え        淑如
バスに乗った時に、隣の男性からマスクしていても樟脳の匂いがしました。
樟脳の匂いとしたほうが良いでしょうか?

  「香」の方が良いと思います。写真トリミングしました。(牧紀)
  昔は今頃モスの一重(樟脳の匂いがかすかにする)の着物を男女ともに
  着ましたよね。懐かしい!(和子)


コロナ禍に 着もせぬ着物 虫干す     淑如
 時間がたくさんあったので、思い立ってやってみました。


夏籠り わずかな安堵 つかの間や    淑如
 感染者数が減りほっとしたのも束の間でした。

    夏篭りは新しい季語ですね。(有三)


手におえぬ 十薬の庭 八重見つけ     淑如
 取っても取っても次から次へと生えますが、その中に可愛い八重を
 見つけました。


野仏の 微笑み沁みし 夏に入る      淑如
 散歩の途中で野仏にお会いしました。

    野仏の写真が優しさにあふれています。(未来)


黄昏に ホタルブクロや 花一輪      和子


 夕方水やりをしようと、初めて咲いたホタルブクロを足元に見つけた喜び。

    黄昏時の蛍袋に蛍は入るでしょうか?(未来)
    蛍袋はいろいろの色がありますね。大好きなお花です。(淑如)


芍薬を 手向けし人の ねむる里       和子
 最近できた自然葬の墓地に手向けた芍薬の花。


角曲がる アヤメ咲く道 足止まり      和子
 いつも通る道、純白なアヤメの姿に心打たれて思わず立ち止まる。

    花の写真上手になりましたね。(隆夫)


脚立おき 梅は何キロ 胸算用      和子
 梅もぎのシーズン、実がなり過ぎても困る。ならないのもさびしい複雑な気持ち!

  くれぐれも脚立に乗るときは気にしてください。落ちた経験があります。(有三)


ひっそりと 衣替えせし 軒の花      牧紀
国内自生種のいわゆる露草。外来種の紫露草、常葉露草に押され、ひっそりと咲く。
みどり葉のは陰に青がのぞく。


二の腕の 赤み肌荒れ 更衣      牧紀
 半袖に着替えた直後は、腕先、見事に肌焼けす。写真は素材集から借用。


無事祈る 青葉の下の 六地蔵      牧紀
 近くの寺の六地蔵。コロナ禍に対し、人類は余りに無力。今は祈るのみか?


    白妙の雲青空に更衣
        晴れまた雨の心変はりも   紀舟
 5月は雨が多く、白雲と青空が目まぐるしく入れ替わった。

   白妙の雲の短歌優雅ですね!(和子) 


    錦木の今花の時みどり葉や
      もみじする秋コロナは如何に  紀舟
錦木の花咲く頃、緊急事態宣言は解除されたが、錦秋の頃には、コロナは収まって
いる事を期待してーーー。

    錦木の赤く色ずく頃に自粛も収まってゐてほしい。(未来)   


釣り人の 背に年の出る 更衣       ゆきお
 風が冷たさを感じる頃は厚めの外衣であるが、衣替えすると背中の丸みが窺える。
 ああ,いつもいる人は年配者なんだ。歳は背に出ると言いますものね。

  人物描写がいいですね。(和子)   


断捨離も 未練顔出す 更衣        ゆきお
この派手な柄のブラウスはとっくに捨てたと思っていた。衣替えで 夏物をだすとまだ残っていた、おれも未練がましい奴だな。今年は捨てるぞ!

   わかる判かる!!男性の方が未練がましいのかも?(牧紀)
   派手な柄、歳をとるほど派手な柄が似合う!「あるきま」に最適です。
   もったいないですよ。(和子)


一輪を 際立たせしや 木下闇       ゆきお
石榴の花は「万緑叢中紅一点」で有名であるが、木下闇の中の紅一点もなかなかである。

   木下闇は「このしたやみ」と読むのですか?(和子)
   「こしたやみ」と5音です。(牧紀)


脛出して 子よりうれしき 夏の川       ゆきお
初夏の暑い日、子供の水遊びに付いてきた母親は水の心地よさについ裾を撒くって
子供を追いかけてストレス解消の一時である。

    少し離れて川遊び!それでも外に出られる楽しさ!!(未来)


真夜中に 純白に咲く 月見草      吉夫
月見草の開くときはポンと音がするのでは?と思うくらい感動しますね。(未来)


昼間には 白からピンク つきみそう      吉夫
  「つきみそう」を「衣替え」に如何でしょう?(和子)
   いいですね!  月見草昼はピンクに衣替え (牧紀)


赤青に 白が咲ける セージかな    吉夫
 


今は未だ 三変化ほど 七変化     吉夫
 


紫蘭とは 誰が名付けた 白紫蘭       吉夫


休園の 花壇ひっそり 更衣         すすむ
グランベリーパークです。この花壇の周囲には、ほとんど人はいませんでしたが、
一ケ月前に比べ、花はすっかり変わっていました。

  自粛前にグランベリーパークに出かけました。人でいっぱいでした。(未来)

茅ケ崎の 白波白し 更衣         すすむ
 向こうに見えるのは江ノ島です。白→夏の更衣 への発想は月並みですかね。

   「更衣」は句は出来ても、写真俳句となると難しいですね!
   ついつい、写真に合わせざるを得ないとか? (牧紀)
   「白波白し」が気になりました。(和子)
   芭蕉の句に『曙や白魚白きこと一寸』があり、当たり前のことなのに、
   白さ強調のため、『白魚白き』と詠み、それが名句とされているので、
   『白波白し』もありかと思い投句しました。(すすむ)
   ”『通ればリーチ』が通らなかったかという感じだ”そうですが、誰も通さ
   ないとは、いっていません。こうゆう強調表現はOKと思います。(牧紀)
   なるほど芭蕉の名句がお手本になっているのですか。すすむさんが
   「白波白し」となさってもよろしいと思います。ただ「si」音が3つ重なった
   ので少し気になったまでです。(和子)


蝶ためらう 向こうは他県 境川        すすむ
 境川川縁のサイクリング、気軽に神奈川県側に行ってもいいのかなと思って。
 動画では蝶乱舞の様子が撮れたのですが、写真では撮れませんでした。


人知れず 川風も木も 更衣        すすむ

 恩田川。花見の頃も、そして今の葉桜も、あまり人はいません。

引きこもり 解き放たれて 四葩かな      すすむ
 南大谷天神社です。
 町田天満宮、菅原神社にはよく行くのですが、ここは初めて知りました。

出し入れを 繰り返してる 衣替え    くに
 コートの色が気に入っているので、処分しょうか何時も迷っています。

  断捨離もったいない!(和子)


園児らの 植へしじゃがいも 花盛り    くに
 近所の小さな畑、幼稚園児が折々の野菜作りを手伝っています。

   園児の話し声、笑い声がきこえるようです。早くそんな日に戻って
   ほしいですね。(淑如)


義姉逝きて 白波寂し 夏の海      くに
 頼りにしていた兄嫁が膠原病でなくなりました。

  ショックでしょうが、気を落とさず!尚、写真トリミングしました。(牧紀)
  白波も残雪も白ですね。(有三)


山襞の 残雪写す 夕陽かな     くに
 葬儀の帰り新幹線の窓外の連山です。

   列車から見える夕日に感慨深い思い。(未来)
   残雪を夕日が暖かく見守っている。青い空の彼方でーーー。(牧紀)
   弔い帰りの窓外の景色、心に残りますね。(和子)


よかったね 一人静に ならずして    きよし
二人静です。小山内裏公園の野草コーナーにて。
名札は一人静となって いましたが、一人静はお隣にありました。


女子高の 夏服カラーの 眩しけり    きよし
高校時代の通学時、神戸山手のある女子高の生徒が駅前のバス停で並んでおり
ました。6月の衣替えで、セーラー服の真白なカラーがやけに眩しく感じました。
花の方のカラーは我が畑で撮りました。


グミの種 友と飛ばした 日の在りし    きよし
 マンション裏の雑木林の一角にぐみがなっていました。
 幼い頃、よく食べていたことを思い出しました。

    グミの種の句、郷愁をそそります。(和子)


指す針の 多さに迷ふ 時計草      きよし
 自宅近くで、生け垣から顔を出している時計草を見つけました。
 ブルーが鮮やかです。


球児の声 消えて久しや 芝青し      きよし
自宅近くの上柚木野球場は高校野球の地区予選が行なわれるところですが、 今年は
全て中止。外野の芝生の青さが目立ちました。

    夏の高校野球も中止で芝生のグランドが静かすぎますね。(未来)


     閉鎖中ライブハウスの代はりにと
         公園隅でネットのライブ  きよし
南大沢駅に近い公園で時々ウクレレを伴奏に歌って方に出合います。
定期的にライブハウスに出演されているのですが、今はライブハウスが閉鎖中 なので、
屋外でネットでのライブ配信をされておられます。


陸奥の 空恋しかり 花林檎       小鈴
今年は姫林檎の花が綺麗に咲きました。蕾がとても可愛いのですが上手く まとまらず、空を仰いでいる写真が取れましたので、リンゴの気持ちに なって読んでみました。

    姫林檎への思いを込めて、「空恋しかろ」も!!(牧紀)


光受け 黄金に輝く 小判草       小鈴
 小判草が逆光に照らされ、背後から黄金色に輝いていました。


立葵 竹の若芽と 競ひけり      小鈴
 広い荒れ地の中に立葵の花が、元気よく逞しく数本あり、その後ろには
 竹藪が有りそこに若竹が、立葵と競争するように生えていました。


栗の花 探せど見へぬ 雌蕊かな     小鈴
栗畑が近所にあります。今栗の花が満開ですが、雌蕊が見当たりません。

    栗の花の雌蕊は付け根の所に小さいのがあります。(未来)


 マシュマロの 柔らかき色 薔薇咲く     小鈴

 可愛い、とても癒されるバラの花と出会いました。
 まるでマシュマロみたいにふっくら丸くーーー。


鈴蘭や 葉を潜り抜け 顔だしぬ      小鈴
我が家の鈴蘭は,シャガや椿などの木に囲まれています。 いつ消えてしまうか心配していますが、レンガのブロックを潜り抜け 花を咲かせました。


行く春や 湧水そっと 手に掬ふ     波
 近くに源流公園があります。流れの先は恩田川。


リンドレイ 母の日の花 輝けり      波
 デンドロビウム・リンドレイ、元気を貰いました。色がいいでしょ。

   何とも豪華な花ですね!花一杯、幸せいっぱい。(牧紀)


はや刻め コロナ終はる日 時計草    波
 自然の造形の妙にただ感心するばかり。


東屋に 人ただ一人 花菖蒲      波
 薬師池公園まで散歩。人は少なく、残念ながら花は例年より見劣りしました。

   皇居東御苑や小田原城の花菖蒲吟行が思い出されます。(未来) 


出番待つ 紫陽花たちの 薄化粧     波
 これからは紫陽花の時季、楽しみです。(薬師池)


水馬の 群れて小波 夕間暮れ      波
 池に水鳥の姿はなくあめんぼが沢山泳いでました。(薬師池)

    コロナのお陰で、人減り、わが天下(?) (牧紀)


風すぎて 小梅一粒 残しけり     有三
 堂の坂公園のベンチです。

  町田天満宮に度々出かけ、子の健康を願い、青梅を拾いました。(未来)


公苑に 咲き残されし 春紫苑      有三
 雑草の類ですが綺麗です。


梅雨隣り 水琴窟に 雨模様      有三

 水の模様が気になりました。

   井伏鱒二の川底の岩屋に閉じ込められた「山椒魚」の作品が頭に
   浮かびました。(和子)


あるなきや 若葉の一枝 風まとふ   有三
 堂の坂公園にて。

  幽玄の世界ですね!冬菊のまとふはおのがひかりのみ(秋櫻子)。(牧紀)




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